ゲームテスターに向いてる人の特徴は?向いていない人との違いも解説
ゲームが好きという理由でテスターへの応募を考えている人は少なくありません。ただ、ゲームへの熱量と業務への適性は別の話で、向き不向きを分けるのは別の軸です。
- 同じ確認を条件を変えながら淡々と繰り返せるか(忍耐力)
- 画面の小さな違和感に気づけるか(注意力)
- 決められた手順・フォーマットを崩さず守れるか(正確性)
- 見つけた不具合を再現手順まで文章化できるか(報告力)
- 未発表タイトルの情報を一切口外しない自制ができるか(守秘義務)
この記事では、向き不向きを分ける各軸を業務の場面から解説しています。読み終えたあと、自分に当てはまる特徴の数をもとに応募を判断してみてください。
ゲームテスターに向いている人の特徴
ショップで100円のものを買ったら、残金がちゃんと100円減っているか。このボタンをタップしたら正しい画面に切り替わるか。テスターの一日の大半は、こうした項目がExcelのチェックリストに大量に並び、一つひとつを〇か×かで記録していく作業です。
同じ壁に何度もぶつかって虚無になるような場面ばかりを想像されがちですが、実態の中心にあるのは地道なチェック消化のほうです。この単調な確認作業に淡々と向き合えるかどうかが、向き不向きの分かれ目になります。
同じ操作を繰り返しても集中が途切れない人
境界値テストは、パラメータを1ずつ変えながら同じ操作を何度も繰り返す作業です。一見すると毎回まったく同じ動きでも、設定している条件は微妙に変わっています。組合せテストやストレステストも、確認する条件を少しずつずらしながら同じ手順をなぞり続けます。
たとえばショップで100円のアイテムを買って残金が減るかを確かめるとき、同じ購入操作を10回繰り返し、その都度〇をつけていきます。ここで集中が切れると、どの条件で確認したのかという記録が抜けたり、画面の小さな違和感を見落としたりするわけです。
記録が抜けたバグは、あとから再現できません。再現できないものは開発側に手順を伝えられず、修正も止まったままです。
好きなゲームでも、同じシーンを何十回も確認し続ければ遊びの感覚は薄れていきます。変化の乏しい作業そのものに苦痛を感じにくい性質のほうが、ここでは役に立ちます。
画面の細かな変化に気づける人
テスト中の画面では、確認すべき要素が同時にいくつも動いています。UI配置が数ピクセルずれていないか。ボタンを押してから反応するまでに遅延がないか。テキストが文字化けしていないか。
エフェクトの表示タイミングはずれていないか。サウンドの再生漏れはないか。ロード時間が異常に長くなっていないか。これらを一度のプレイで並行して見ています。
ところが、こうした異変の多くは一瞬で消えてしまいます。画面の乱れもエフェクトのずれも、コンマ数秒で過ぎる出来事。気づいた時にはもう次のシーンに切り替わっている、という展開になります。
その瞬間を捉え損ねると、バグを報告するきっかけ自体を失います。同じ現象がいつまた起きるかわからないため、もう一度同じ条件を作り直すところからやり直しになります。一瞬のちらつきに目が留まる人ほど、報告のタイミングを逃しません。
バグの発生条件を正確に文章化できる人
バグを見つける力と、それを伝える力は、別々に備わっている能力です。たとえば3面でフリーズしたとだけ書かれた報告は、結果しか伝わってきません。受け取った開発側は、どんな操作をしたときに、どの環境で起きたのかを推測するしかなく、再現できないまま対応も後回しになります。
伝わる報告は、要素を分けて書かれています。まず動作環境の明示、操作手順は敵を3体倒す、メニューを開く、アイテムAを使う、というように番号を振って順に並べます。本来どう動くはずだったかという期待動作と、実際に起きた動作も、それぞれ独立した項目として書き分けるのが基本です。こうした分け方ができていれば、開発側は手元で同じ状況を再現でき、修正に進めます。
ところが、頭の中ではバグの起き方を理解していても、文章にした途端に手順が抜け落ちる人は出てきます。見つける観察力と、それを再現可能な手順へ言語化する力は、同じ人の中でも得意不得意が分かれる領域です。
決められた手順を忠実に守れる人
テストは指定された手順の通りに進めることが前提になっています。手順を一つでも自己流に崩すと、その結果はほかのメンバーが同じ条件で出したものと並べられません。どの条件でバグが出たのかを特定できず、データとしての価値も下がります。
たとえばこんな場面があります。一度確認したバグをもう一度再現しようとしたとき、前回と手順が違っていたために同じ現象が出ず、確認不可で終わってしまうというケースです。開発者の手元には再現できないバグだけが残り、修正に着手できません。
自分なりに効率の良いやり方を思いついても、それを勝手に持ち込めば、ほかのメンバーの結果とかみ合わなくなる恐れがあります。複数人で同じ項目を分担する以上、全員が同じ道筋をたどっていることが大前提だからです。
近道のつもりで手順を省いた一回が、チーム全体の作業を止めかねません。
未発表タイトルの情報を漏らさない自制ができる人
テスターは発売前のゲームに、一般プレイヤーより先に触れる立場です。そのため、扱う情報の口外は厳しく制限されます。テスト中のタイトルの名称、これから実装される予定のキャラクター、さらには過去に関わった案件名すら外に出すことはできません。情報漏洩は、この業界で最も重い違反として扱われます。
実際に、あのゲームでこういうキャラが実装されるらしい、という話はもちろんアウト。昔この作品のデバッグをやっていた、という過去の打ち明け話さえ原則として認められません。
知っている情報ほど、誰かに話したくなるのが人情でしょう。ここではその衝動を自分で抑えられることが前提になります。
一般ユーザーの目線で操作できる人
たとえばチュートリアルを途中で飛ばす、複数のボタンを同時に押してみる、読み込みの最中にホームボタンに手をかける、設定の数値を最大や最小まで振り切ってみるといった操作。開発者が想定していないこうした雑な動かし方を、自分の手であえて試せるかどうかが、向き不向きを分けるポイントになります。
作り手は正しい操作の流れを想定して設計するため、自分ではどうしても正しく動かしてしまいがちです。けれど実際のプレイヤーは、説明を読み飛ばし、思いがけない順番でボタンを触ってきます。
リリース後にユーザーから報告される不具合の多くは、こうした想定外の操作から発生しています。開発側が思いついていない動かし方を自分の手で試せる人が、世に出る前の問題を見つけます。
ゲームテスターに向いていない人の特徴
アルバイトには前日夜に翌日の出勤確認が届く運用があります。断れば次の連絡が減るため、掛け持ちで働く人は予定を立てられません。案件は本人の希望と無関係にアサインされ、苦手なジャンルに当たっても選び直しはできません。
応募前に見えにくいのは、この働き方の不安定さと作業の単調さです。単調さの根には、遊びとまったく逆の目的でゲームに触り続けるという構造があります。
デバッガーという肩書きで同様の業務に就いている現場の実態については、きつさの種類と継続できる人の条件を別記事で詳しく扱っています。
▶ ゲームデバッガーはきつい?やめとけと言われる理由と仕事の実態を解説
ゲームで遊ぶ仕事だと思い込んでいる人
テスターは、壁の隙間や障害物の裏に何度も体当たりします。ゲームを進めず、同じマップの端を延々と歩き続けることもあります。プレイヤーなら次のステージに向かう場面で、わざと進まず同じ位置で挙動を確認する作業です。
たとえば特定のルートを通ったあとに強制終了が発生するかどうかを、条件を変えながら20回確認するような日があります。同じ手順を繰り返してすべての結果を記録する流れです。ストーリーを楽しむ時間はほとんどありません。新しい場面に進むよりも、同じ場面に留まる時間の方が長くなります。
ゲームへの興味だけを動機に応募すると、入社後のギャップが大きくなります。好きなジャンルに当たればまだしも、案件は選べません。苦手なタイトルで毎日同じ動作を繰り返す日が続くこともあります。
遊びで触れていたゲームと、仕事として触るゲームは、向き合い方がまったく違います。この距離感を理解しないまま入ると、長く続きません。
成果が見えないとやる気を維持できない人
見つけたバグが修正に採用されても、クレジットに名前が載ることはほぼありません。テスターの仕事は裏方であり、リリースされたゲームを見ても自分の貢献が形として残りません。
たとえば自分が見つけたバグが仕様扱いで修正されないこともあります。優先度が低いと判断され、理由も共有されないまま次の項目に進みます。報告したバグが採用されないこと自体は特別な話ではなく、判断の根拠が現場まで降りてこないこともあります。開発側の事情で動いている以上、テスターが理由を聞ける機会はほとんどありません。
評価されることでモチベーションを保つ人にとって、この環境は厳しい現場です。自分の発見が誰かに認められる場面が少なく、報告した内容がどう扱われたかも追えません。
同じ作業の繰り返しに耐えられない人
1つの機能に対して、3回、4回と同じ手順を繰り返す日が続きます。テスターの日常は、完了済みのテスト項目を最初からやり直し、バグが修正されるたびに同じ箇所を何度も検証する積み重ねです。
たとえばリグレッションテストとよばれる工程では、修正前に確認済みの項目をもう一度すべて触り直します。修正が入るたびに過去のテストをやり直すため、同じ画面・同じ操作の反復になります。1つの修正が他の機能に影響していないかを確認する以上、省略できません。新しい刺激は少なく、ひたすら同じ確認の繰り返しになります。
刺激や変化を求めるタイプには合いません。淡々と同じ操作を続けても集中が切れない人でなければ務まりません。
指示を無視して自己流で進める人
テスト項目の手順を飛ばすと、該当箇所に抜け漏れが出ます。その範囲を最初からやり直すことになり、自分だけでなくチーム全体の進行が止まります。
たとえば決められたフォーマットを無視したバグ報告は、開発者が再現できず差し戻されます。発生手順や条件が抜けていれば、開発者は同じ状況を作れません。同じバグに何度も時間を取られることになります。差し戻された報告を書き直す時間と、再度同じバグを確認し直す時間が二重にかかります。
たとえ手順が冗長に感じられても、指定されたフォーマットを外すことはできません。チェックリストも報告書も、開発チーム全体で揃えるための仕組みです。決められた通りに動けない人は、テスターに向きません。
ゲームテスターの適性を見極めるには?
頭の中で単調な作業に耐えられそうだと考えてみても、実際に向いているかは見えてきません。チェックリスト方式の反復作業や、フォーマットに沿った報告書作成は、頭で想像する単調さと、椅子に座って手を動かし続ける単調さでは負荷の感じ方がまったく変わります。応募前に自宅でできる範囲で業務に近い作業を試してみると、続けられるかどうかの感触がつかめます。
単純作業への耐性を確かめる
まず手持ちのゲームを1本用意し、同じステージを10回プレイしてみます。ただし毎回1つだけ条件を変えます。1回目は通常装備のまま、2回目は装備を変え、3回目はルートを変え、4回目は操作タイミングをずらす、というように1要素だけ変化させていく形です。
途中で気になる挙動を見つけたら、そのまま流さずに操作内容・結果・通常との違いをメモに残しておきます。プレイ自体を楽しむのではなく、観察と記録のために同じステージを往復し続ける作業です。
実際にやってみると、3回目あたりからゲーム本来の面白さは薄れていきます。同じ景色を眺めながら、毎回違う条件で操作した結果を律儀に書き留める時間が続くわけです。5回目以降になると、ステージを楽しむという感覚はほぼなくなっていきます。
ここで集中が切れて記録が雑になる人と、淡々と10回目まで同じ濃度で書き残せる人に分かれます。後者の感覚で続けられたなら、業務の反復作業にも耐えられます。
バグ報告文を実際に書いてみる
次に試したいのが、報告書形式での文章化。バグ報告書で実際に使われる項目はテスト環境、再現手順、期待される動作、実際の動作、発生頻度、優先度の6つに大別されます。
たとえば普段プレイしているゲームで気になった挙動を1つ選び、6項目に沿って書いてみます。テスト環境には機種名とOSバージョン、再現手順には操作を1ステップずつ番号付きで、期待される動作には本来こうなるはず、実際の動作には起きた現象、発生頻度には毎回か数回に1回か、優先度には体感での重大度を記入していくイメージです。
書き始めるとすぐ、再現手順がいかに難しいかに気づきます。普段プレイしている時に無意識でやっている動作を、他人が読んで同じ操作を再現できるレベルまで言語化するのは、なかなか骨のいる作業です。この再現手順が曖昧なまま提出されると、開発側は何が起きたのか確認できず、報告そのものが宙に浮きます。
条件を細かく分解して言葉に落とすのが楽しいと感じられた人は、現場でも通用する報告書を書けます。
テスト業務の実態を事前に知る
華やかなイメージと現実のギャップを応募前に知っておかないと、適性以前に続けられなくなります。好きなゲームを遊んでお金がもらえる仕事という認識のまま入社すると、想定との落差が先に来ます。
もっとも、ここまでで紹介した自宅テストをやって淡々とこなせたとしても、職場では締め切り前の長時間労働や、見つけたバグが仕様扱いで放置されるといった精神的な負荷もついてきます。自宅テストで反復作業に耐えられても、締め切り圧力や仕様変更が続く職場環境には、別の耐性が必要です。
繰り返し作業の多さや雇用形態の不安定さといった現場の実態は、本サイトの関連記事でも詳しく触れました。職場の労働条件や正社員とバイトの差を別記事で確認しておかないと、応募後に想像とのズレで詰まる人が少なくありません。
長時間労働・低賃金・雇用の不安定さといったゲーム業界全体の問題は、テスターに限らずゲーム業界で働く前に把握しておくと判断材料が増えます。
▶ ゲーム業界はやめとけ?理由と向き不向き、将来性まで解説!
よくある質問
プレイスキル・性別・性格・雇用形態と、向き不向きの関係について、それぞれ答えます。
ゲームが下手でもゲームテスターになれますか?
ゲームが上手である必要はありません。平均的なプレイヤー視点で不具合を見つける能力のほうが重視されます。
初心者がつまずきそうな場面を発見できる人材も求められています。腕前ではなく、違和感に気づける感度が問われる仕事です。
女性でもゲームテスターに向いていますか?
性別による向き不向きはありません。女性向け・カジュアルゲームの増加で、幅広いユーザー視点を持つ女性テスターの需要が高まっています。
デスクワーク中心のため体力面での性別差もほとんどありません。プレイヤー層の広がりが、そのまま現場に求められる視点の広がりにつながっています。
内向的な性格でも務まりますか?
むしろ向いていると言える要素もあります。黙々と作業に集中できる人は、長時間の検証作業や細部の確認でも集中を維持できます。
報告書やバグ管理ツールを通じた文字ベースのコミュニケーションが業務の中心です。対面での雑談や即興のやり取りより、決められたフォーマットで正確に書き残す力のほうが評価されます。社交性より集中力と書く力が現場の通貨になっていく仕事です。
正社員とアルバイトで向いている人は違いますか?
向いている人の輪郭は変わります。固定シフト型のアルバイトは定時退勤が基本で、純粋な検証作業が中心。正社員はシフト管理・クライアント連絡・新人教育など管理業務が加わる立ち位置です。
正社員の平均年収は376万円で、20代は324万円、30代は413万円です。収入の安定とキャリアの広がりは正社員側にあります。検証一本に集中したいならアルバイト、管理や育成に踏み込みたいなら正社員が合います。
まとめ
ゲームが好きかどうかより、同じ確認を繰り返しながら記録を崩さない耐性と、見つけた不具合を再現手順まで書き切れる力が、テスターとして続くかどうかを分けます。
応募を検討している方は、未経験からのルートと採用基準を先に確認しておくと準備が整います。