ゲームデバッガーはきつい?ゲーム好きでは乗り越えられない理由と向き不向きの基準
ゲームデバッガーへの応募を検討していて、きついという評判が気になっているなら、その不安は正しい方向を向いています。
デバッガーの仕事は、同一シーンを何百回と繰り返す検査作業が中心です。ゲームを楽しむ仕事ではなく、Excelのチェックリストに沿って同じ操作をひたすら消化していく仕事です。
ゲームが好きで入った人が最初の1週間でゲームを嫌いになります。ゲーム好きかどうかは、続けられるかの判断材料になりません。
反復作業を苦痛と感じるかどうかだけが分かれ目です。この記事では、きつさの実態と向き不向きの基準を示します。応募前に自分がどちら側かを判断してください。
この記事の内容
ゲームデバッガーがきついと言われる理由
ゲームデバッガーがきついと言われるのは、ゲームを遊ぶ仕事ではなく、同じシーンを延々と確認し続ける検査仕事だからです。発売日に向けて品質を保つために、画面の隅・操作の組み合わせ・データの整合性を全件確認していきます。負荷の中身は次のような点に分かれます。
- 単調な反復作業が続く
- 長時間労働や不規則な勤務になりやすい
- 目や身体への負担が大きい
- 納期前のプレッシャーが強い
- バグ報告に高い正確性を求められる
- 守秘義務が厳しく仕事の話ができない
- 成果が数字で測りにくく評価されにくい
単調な反復作業が続くため
壁に何千回も突進させる、同じ場所を延々とうろうろする。ゲームデバッガーの作業にはこういう光景が含まれます。同一シーン100〜500回の確認テストは珍しくなく、キャラクターが想定外の挙動を起こさないかを潰していきます。
実態の大半はExcelのチェックリスト消化です。「ショップで100円のものを購入したら残金が100円減っているか」「このボタンをタップしたら該当する画面に遷移するか」といった項目に〇か×をつけて報告していきます。チェック項目は1タイトルで数千件を超えることもあり、同じ画面・同じ操作を1日中繰り返します。最初の1週間でゲームが嫌いになったという声が出るのは、好きなゲームが好きなタイミングで触れない作業環境に変わるためです。
ゲームが好きという気持ちと、同じ画面に向き合い続ける耐性は、必要とされる資質が違います。
長時間労働や不規則な勤務になりやすいため
新製品の発売が近づくとデバッグの仕事は忙しくなり、残業や休日勤務が増えます。マスターアップ前は連日の長時間勤務になり、終電帰りが続く時期もあります。
雇用形態によって状況は分かれます。アルバイトや派遣は定時で上がれることが多く、残業はほぼ発生しません。一方でリーダー職や正社員は1日1〜2時間の残業が常態化しやすく、繁忙期はそのまま深夜まで延びます。
開発が始まる前の閑散期には逆に勤務時間が減り、シフトが少なくなる時期もあります。繁忙期と閑散期の勤務時間の差が、収入と生活リズムの両方を揺らします。
目や身体への負担が大きいため
1日の大半をモニターの前で過ごし、画面の隅々まで注意を払う作業を続けます。長時間にわたり同じ画面を凝視するため、目・首・肩への負担は大きくなります。
座りっぱなしになるため腰の負担も大きく、腱鞘炎を発症する人も出ます。機材を冷やす都合で空調が制限される現場もあり、室温の高さや姿勢の固定が体力的な疲労を上乗せします。
納期前のプレッシャーが強いため
ゲームの発売日は基本的に動かせません。一方で、企画・プログラミング・デザインといった上流工程の遅延はそのままテスト工程にしわ寄せされます。
その結果、テスト期間が圧縮されたまま重大なバグを全て潰さなければならないという状態が起きます。発売後にバグが残れば直接ユーザーの不満につながるため、リリース直前ほど確認の精度を緩められず、長時間労働とプレッシャーが同時にやってきます。
バグ報告に高い正確性を求められるため
バグを見つけて終わりではなく、再現手順・発生条件・エラーメッセージの内容を正確に書き残す必要があります。決められたフォーマットに従い、誰が読んでも同じ手順で再現できる文章で記録します。
報告内容が曖昧だと開発者が修正に手間取り、修正バージョンの確認テストも遅れます。ゲームをプレイするのと同じくらい、報告書を書く作業に集中力を使うのがデバッガーの仕事です。
守秘義務が厳しく仕事の話ができないため
未発表のゲームに先に触れる立場のため、守秘義務の縛りはかなり厳しくなります。「昔〇〇というゲームのデバッグをやっていた」という過去形の発言ですら原則アウト、というルールの会社もあります。
家族や友人に何のゲームに関わっているのか言えず、SNSで盛り上がっている話題にも参加できません。ゲーム好きが集まりやすい職場であるほど、好きな作品の話を外に持ち出せない閉塞感が積み重なります。
成果が数字で測りにくく評価されにくいため
デバッガーの理想的な成果は「バグがない状態でリリースされること」です。ところが、バグがない状態は外から見ると「何もなかった」ようにしか映りません。発見したバグの件数も、テストするタイトルや時期によって振れ幅が大きく、件数の多寡で実力を測るのは難しい仕事です。
正社員の平均年収は約376万円で、日本人平均の458万円を下回ります。20代では324万円が目安で、年齢を重ねても急には上がりません。地道な検査作業をどれだけ重ねても、それが給与や肩書きに反映されにくい働き方が、評価されにくいと感じる原因になっています。
きつくてもゲームデバッガーを続ける人がいる理由
発売日のSNSが盛り上がっているのを見たとき、自分がテスト中に発見したバグが修正されて製品になったと感じる人がいます。反復作業のきつさはあっても、それをひとまず横に置いて続けている人がいる。その理由は1つではありません。
未発表のゲームに触れる瞬間がきつさを帳消しにする
まだ一般に出回っていないゲームの開発画面を見ながら作業するのが、デバッガーの日常です。ラフだったグラフィックが週を追うごとに仕上がっていく過程を、リリース前から目撃できます。
発売日にSNSが盛り上がっているのを見るとき、自分が見つけたバグが修正されて製品になったという感触があります。ただし、守秘義務があるため誰かに話せるわけではありません。
この仕事だからこそ見られた、という体験が反復作業の日々のあいだに積み重なっていきます。開発中のグラフィックが完成に近づく過程を最初から見ている人間は、デバッガー以外にほとんどいません。
ゲーム業界への入口を手放したくない
デバッガーは、ゲーム業界に足を踏み入れるための数少ない入口です。未経験でも応募できる求人が多く、プログラミングスキルや専門的な資格なしで採用されるケースがあります。
ゲームテスターとして働いていると、プログラマーやプランナーが使う仕様書を目にする機会があります。将来、開発職になるなら、やっておいた方がいいと業界経験者が語る理由はここにあります。
とはいえ、デバッガーからゲーム開発職への転換は自動的には起きません。その道を意識して動いている人が、ゲーム業界への入口として今の仕事を手放さずにいます。
QAエンジニアへのキャリアアップにつながる
デバッガーの仕事を続ける中でテスト設計の知識を積むと、QAエンジニア(品質保証エンジニア)への転換が視野に入ります。Cygamesのテスター・デバッガー・QAスタッフの平均年収は636万円で、デバッガーのアルバイト時給1,000〜1,300円や正社員平均年収376万円とはかなり離れています。
QAエンジニアは、テストを実行するだけでなく、テスト計画の立案や品質保証プロセス全体の管理が仕事の中心です。デバッガーとして積んだ実務経験は、その出発点です。もっとも、QAエンジニアへの転換には、テスト設計の知識やドキュメント作成力を自分で積み上げていく時間がかかります。
マスターアップを乗り越えたときの一体感がある
ゲームの発売日が決まると、デバッガーチームはリリース直前の集中検証に入ります。残業が増え、プレッシャーも高まる時期です。それでも、ゲームが正式にリリースされたとき、チームで作業を終えたという実感が生まれます。
ゲームテスター・デバッガーの作業は基本的に個人で黙々と進めるものですが、バグの改善方法をチームで話し合う場面もあります。発売後に他のメンバーと喜びを共有できるのは、その時期特有のことです。
反復作業が続く日々の中で、プロジェクトの最後に全員で同じゴールを迎える場面は数少ない共同体験です。それを理由に続けている人がいます。
ゲームデバッガーに向いている人
きつさの実態を知ったうえで続けられる人には、共通した特徴があります。求人票にゲーム好き歓迎と書かれていても、採用後に長く残る人はゲームへの熱量ではなく別の資質で動いています。
反復作業を苦痛と感じない人
向いている人の中心条件は、反復作業への耐性です。好きな作品が触れないまま旧作バグ確認が続く現場は珍しくありません。担当タイトルは自分で選べず、Excelのチェックリストに書かれた項目をひたすら消化していく日々が続きます。
このとき、決まった操作を黙々と繰り返すこと自体への耐性が分かれ目になります。同じ動作を何百回も試して挙動の差を探すような作業に、パズルを解くような面白さをバグ探しに感じられる人なら長く続きます。
逆にゲームを遊びたい気持ちが先行すると、チェックリストの単純作業が拷問のように感じられます。一つひとつの確認をこなしていく職人気質のほうが、新作を遊びたい好奇心よりも強く効きます。
ゲーム知識を品質チェックに転換できる人
ゲーム経験が活きるのは、遊んだジャンルの幅です。RPG・レースゲーム・パズルアプリと、担当タイトルはプロジェクトごとに変わります。多ジャンルを遊んできた経験があると、UIの使いにくさや仕様の逸脱に気づきやすくなります。
多ジャンルのゲーム知識があると、仕様の逸脱に気づく基準の数が増えます。たとえばRPGなら戦闘画面のテンポ、レースゲームなら操作レスポンス、パズルなら判定の精度。ジャンルごとの動き方を肌感覚で知っているテスターは、設計書に書かれていない違和感まで拾い上げます。このゲーム経験を品質チェックに転換できるかどうかが、担当ジャンルが変わったときの精度の差になります。一方、ひとつのジャンルしか遊んでこなかった人は、不得手なタイトルを担当した瞬間にチェックの精度が落ちます。
品質管理に職業的な責任感を持てる人
品質管理の仕事です。好きなゲームで遊べる仕事ではありません。発見したバグを正確に再現し、誰が読んでも同じ手順をたどれるよう報告する。その地味な作業の積み重ねが、最終的な製品の品質を支えます。
自分の指摘が修正されてユーザーに快適なプレイ体験が届く。その流れに手応えを感じられる人が、この仕事に長く向き合えます。ゲームを楽しむ立場ではなく、品質を守る立場で動けるか。バグを一つ見逃せばユーザーの不満につながるという責任感を、給料や雇用形態に関係なく持ち続けられる人がこの仕事には向いています。
ゲームデバッガーに向いていない人
デバッガーを始めて数週間で辞める人には、共通した特徴があります。職種の説明を読んで問題ないと感じていても、実際の作業が始まった途端に拒絶感が出るパターンです。
同じシーンを何百回も繰り返すことに苦痛を感じる人
ゲームデバッガーの作業は、同一シーンを何百回も繰り返す反復テストです。壁への突進判定を確認するため、同じキャラクターを同じ壁に何千回もぶつけ続ける。アイテムドロップ率の検証で、同じ敵を倒し続ける日もあります。
あるゲームデバッガーの経験者は、最初の1週間でゲームが嫌いになったと書いています。好きで入った業界で、好きだった行為そのものが苦痛になります。
ショップで100円の商品を買って残金が100円減っているか確認する。同じ操作をExcelのチェックリストに沿って終わるまで続ける。1日が同じ動作の繰り返しで埋まります。この単純作業の連続を単調で退屈だと感じる人は続きません。
ゲームを楽しむことと仕事を切り離せない人
業務で触るタイトルは選べません。発売前の最新作を任されることもあれば、好きな作品が触れないまま旧作バグ確認が続く期間もあります。配属次第で、業務時間中に触るのは関心のないジャンルだけになる時期が出てきます。
仕事終わりに気晴らしで別のゲームを起動しても、操作の癖がバグ探しに向かう人がいます。プライベートの趣味としてのゲームと、仕事としてのプレイが地続きになると、休んでいるはずの時間にも疲労が残る。プレイと検証を分けられる切り替えがないと、好きだったジャンルから距離を置くようになります。
正社員・安定した評価制度を求めている人
ゲームデバッガーの求人はアルバイト・派遣の比率が高く、プロジェクト終了とともに契約が切れます。年間収入は200〜300万円台に収まるケースが多く、賞与・各種手当が付く正社員ポジションは限られる。評価制度も独特で、バグの発見数で機械的に査定されるわけではなく、再現手順の正確さや報告書の質といった見えにくい指標が並びます。
同じバグを誰が先に見つけたかで成果が分かれる場面もあり、定量評価で給与が積み上がる職種とは異なります。安定した給与カーブとはっきりした評価軸の中で働きたい人には、この職種は合いません。
ゲームデバッガーに必要なスキルと経験
バグを見つけることより、見つけたバグを開発チームに正確に伝える方が難しい仕事です。再現手順が曖昧なバグ報告が届いたとき、プログラマーは再現確認から始めなければならず、修正着手が遅れます。求人票にはコミュニケーション能力や集中力という言葉が並びますが、現場で実際に使う能力はもう少し絞り込まれています。
バグを再現・記録する観察力
キャラクターの鎧のテクスチャが特定のアニメーション中に一瞬だけ体を貫通する、背景の木の葉が一枚だけ不自然に揺れている。こうした微細な乱れを見つけるには、画面全体を走査し続ける観察力がいります。ゲームデバッガーの仕事はプレイにとどまらず、再現手順を細かく記録して品質向上に役立てます。
気づくだけでは足りません。バグが再現可能かどうか、どうすればそのバグが出現するかを調べ、あわせて報告するのがデバッガーの仕事です。バグの発生条件や再現手順、エラーメッセージの内容を詳細に記録することが、開発チームが動くための前提になります。
発見したバグについて発生場所・操作手順・発生タイミングを正確に記録すると、再現が容易になり、プログラマーが問題を迅速に修正できます。観察力といっても、何かがおかしいと気づく感覚だけでは不十分です。再現可能な形で記録する粘り強さが伴わないと、開発チームに届かない報告になります。
正確な報告書を書くドキュメント力
特定のマップで、特定の武器を装備し、特定のスキルを使用すると100%の再現性でクラッシュが発生する。バグ報告書はこの水準の記述を書くことになります。誰が読んでも同じ手順で再現できるよう、論理的に書く力です。
報告フォーマットに沿って整理された情報を記述するスキルが、ゲームデバッグの現場では初日から試されます。もっとも、最初からフォーマットを完全に使いこなせる人はほぼいません。フォーマットに沿って効率よく書けるようになるまで先輩の報告例を参考にしながら精度を上げていくのが、現場での自然な習熟の流れです。
JSTQB(ソフトウェアテスト技術者資格)は取得が必須ではありませんが、評価されます。ソフトウェアテストの知識を持っていることの証明になるため、中長期でデバッガーを続けるなら、取得を考えておく価値があります。
テスト手順を組み立てる論理的思考
再現性の低い不具合に遭遇したとき、何をどの順番で確認するかを自分で組み立てます。このマップのこのルートで起きるのか全マップで起きるのか、このキャラクターだけか全キャラクターで起きるか。こうした問いを立てて範囲を絞り込む作業が、論理的思考に基づく問題解決です。
一歩進んだ役割として、テスト計画の立案を任されることもあります。どのシナリオを優先的に確認するか、どこに工数をかけるかを判断するには、ゲームの仕様と過去のバグパターンの両方を踏まえた思考が必要になります。
どうすればこの問題が発生しないかという問いを自然に立てられる人が、バグ探しに向いています。
ゲームデバッガーの1日の仕事の流れ
ゲームデバッガーとゲームテスターは、求人票では同じ職種として扱われることがほとんどです。実際にデバッガーを募集している企業の票を見ると、業務内容にゲームテスターと同じ作業が並びます。詳しくはゲームテスターの仕事内容・年収・なり方で解説していますが、ここでは1日の作業の流れを確認します。
デバッガー(ゲームテスター)の仕事内容
ゲームをテストして、バグを見つけ、それを報告するのがデバッガーの中心的な仕事です。
そもそもゲームのデバッグ作業は1人で行うのではなく、社員やアルバイトなど複数人がチームを組んで行います。チームに割り振られたテスト範囲をそれぞれがカバーし、見つけた不具合を所定の書式でまとめます。会社ごとに決められた形式にて、報告書を作成して提出する流れが基本です。
バグを見つけた後の仕事も、報告で終わりではありません。そのバグが同じ操作で再現できるのかどうかを確認し、発生条件を特定してから報告書に記録します。プログラマーが修正を終えると、今度はその修正が正しく反映されているかを再テストします。仕様のチェック・操作性のチェック・不具合の報告・再テストという4段階が、1つのバグに対する一連の流れです。
ゲーム内のバランス確認を受け持つこともあります。特定のキャラクターが強すぎる、ステージの難易度が仕様と食い違うといった調整面の問題は、開発者本人では気づきにくい部分のため、デバッガーが確認する場面が出てきます。
デバッガーの1日のスケジュール例
朝礼でその日の担当範囲を割り振られ、新規実装機能のテストか既存バグの再確認かが決まります。担当が決まったら、チェックリストに従いテストプレイを開始します。
新規実装のテストでは、仕様書に書かれた動作が実際のゲームで正しく再現されているかを一つずつ確認します。たとえばジャンプ・走行・戦闘・スキル使用など各種アクションを繰り返し試すのも、その一環です。既存バグの再確認では、プログラマーが修正したコードが本当に直っているかをチェックします。直っていれば報告書に完了を記録し、別の不具合が発生していないかも確認します。
昼休憩を挟み、午後も同じ作業が続きます。バグを新たに発見した場合は、発生手順と状況を報告書に記録してから次のチェック項目へ進みます。終業前には、当日の作業内容と検出バグ数をリーダーに報告して1日が終わります。
8時間のフルタイム勤務もあれば、短時間で働ける求人もあります。プロジェクトの進行状況によって残業が入ることもあり、リリース直前は検出バグの対応が急務になるため作業量が増えます。
ゲームデバッガーのキャリアアップ
給料が安いという声は、ある程度事実です。一方で、雇用形態によって水準は大きく変わります。詳細な年収データはゲームデバッガーの年収でまとめていますが、以下では雇用形態別の目安と、デバッガーからの次のステップを示します。
雇用形態別の年収目安
正社員ゲームデバッガーの平均年収は約376万円です(doda「平均年収ランキング職種別」調べ)。年代別に見ると、20代324万円・30代413万円・40代494万円と、経験年数に応じて上がります。
40代494万円は日本人の平均年収458万円(令和4年・国税庁調べ)をやや上回る水準で、30代以下では平均を下回ります。正社員でも、デバッガー職が長くなるほど収入の天井感を感じやすい数字です。
アルバイト・派遣の時給は、東京圏の求人で1,000〜1,300円が主流です。アルバイトやフリーランスは期間限定のプロジェクト単位が多く、年間収入は200〜300万円台にとどまります。
正社員と異なり、アルバイト・派遣は残業がほぼなく定時で帰れます。報酬が低い分、時間の使い方はある程度コントロールできるというのが、実際に働いた人たちが語る特徴です。
デバッガーからのキャリアアップの道筋
デバッガー職そのものにはキャリアの天井があります。5年以上働いた経験者の声では「キャリアプランがほぼない」「転職の際は『ゲーム業界で働いてた』より『管理の仕事をしたことがある』を推したほうがいい」という指摘が出ています。
ゲーム開発現場との接点が生まれる点は、デバッガー職の実際の強みです。デバッガーとして働いていると、ゲームプランナーが作成した仕様書を目にする機会があり、プログラマーとのバグ修正のやり取りも日常になります。将来、開発職になるなら経験しておく価値があると答えた経験者もいます。
移行先として実際に挙がるのは、ゲームプランナー・プログラマー・品質管理エンジニアの3方向です。テスト自動化ツールの知識やプログラミングスキルを持っていれば、品質管理エンジニアへの移行に有利です。QAエンジニアとして上流の品質保証プロセスを担えば、年収600万円以上の求人も視野に入ります。
正社員のテスター職は、実態として管理職的な立場になります。アルバイトをまとめるリーダー職への昇格は早く、数ヶ月でリーダー職になる人もいます。一方でリーダー職でも給与はアルバイトと大差がないという声もあり、デバッガーとしての収入を上げたいなら隣接職種への移行を早めに考えておくほうが賢明です。
ゲームデバッガーの将来性
ゲームデバッガーはAIに取られる仕事なのかと、応募前に調べる人は多いでしょう。自動化ツールが普及しつつある現状は事実です。なくなる領域とそうでない領域には差があります。
テスト自動化がデバッガーに与える影響
ゲームバランスの崩れや操作時の違和感は、AIのツールが検出できない領域です。
ゲームの難易度設計や、コントローラーで動かしたときの直感的な操作感を検証するには、人間がプレイして「おかしい」と感じる反応が必要になります。開発者本人では中身を知りすぎていてバランスの崩れに気づきにくいという事情もあり、デバッガーが行う感覚的な評価はツールで代替しにくい部分です。
一方で、同じ仕様確認を繰り返すチェックリスト型の作業は、自動テストプレイのツールを導入する会社が出てきています。単純な動作確認の一部が自動化されると、デバッガーの作業はより判断が必要なテストに集中するかたちに変わります。
スキル次第で専門職へ成長できる
テスト設計やPythonの基礎を身につければ、QAエンジニアやQAリードといった専門職へ成長できます。
QAエンジニアはテストを実行するだけでなく、品質保証プロセス全体の計画と管理を受け持つ職種です。Indeedの集計では600万円以上の水準になる例もあり、デバッガーの正社員平均376万円(doda調べ)とは大きく差があります。テスト設計力がつくと、品質基準の策定やテストスケジュールの管理といった上流の作業に関与できるようになります。JSTQB(ソフトウェアテスト技術者資格)は取得が必須ではありませんが、採用側が評価する場面があります。
デバッガー経験をそのままエンジニアやプランナーへの転換につなげるケースもあります。開発現場のそばで仕事をするデバッガーは、ゲームがどう作られているかを日常的に観察できる立場にあります。
ゲームデバッガーに関するよくある質問
未経験でもゲームデバッガーになれますか?
なれます。ゲームデバッガーの求人票を見ると、「ゲーム業界未経験でもOK」「アルバイト」という条件での募集が大多数を占めています。
資格も学歴の指定もない求人がほとんどです。採用時に問われるのは、ゲームへの関心と反復作業に向き合える姿勢だけという会社が多く、アルバイトから始めて業務経験を積む形でスタートする人が多いです。もっとも、求人票に「未経験歓迎」と書かれていても、業務内容を確認しないまま応募するのは避けた方が無難です。単調な確認作業が中心の案件か、報告書作成まで含む案件かで、入った後の実態は変わります。
資格はないと採用されませんか?
採用に資格は必要ありません。
ゲームデバッガーには特別な資格の要件がなく、多くの企業がゲームへの情熱と忍耐力を重視しています。もっとも、ソフトウェアテスト技術者の国際資格であるJSTQB(Foundation Level・合格率60%前後)を持っている場合は、テスト業務の基礎知識があることの証明として評価される場合があります。持っていないと不採用になる類のものではなく、実務で経験を積んでいくことで成長しやすい仕事です。
基礎的なPCスキル(ExcelやWordでの報告書作成)があると、現場で即日役立ちます。逆に言えば、これさえあれば資格なしでも業務に支障が出ないケースがほとんどです。
アルバイトと正社員はどう違うのですか?
雇用形態によって、収入と業務の幅がはっきりと変わります。
アルバイトは時給1,000〜1,300円が相場で、プロジェクト単位での期間限定採用が多い分、入りやすい一方で年間収入は200〜300万円程度にとどまります。正社員は月給制で、年収300〜500万円の水準になります。また、正社員は長期プロジェクトへの関与が多く、進行管理や後輩指導を任されることがあります。一方、アルバイトはルーチン化された作業が中心で昇進の機会は少ないです。
未経験からアルバイトとして入り、実績を積んで正社員に転向するルートを取っている人もいます。収入面が許せば、まずアルバイトで実務を確かめてから判断する選択もあります。
ゲームデバッガーはなくなる仕事ですか?
すぐになくなる状況にはありません。
AI技術やテスト自動化ツールが進化していることは確かです。とはいえ、現状では自動化が対応できるのはパターン化された動作確認の一部に限られています。ゲームの品質に影響する複雑なシナリオのテスト、予期しないバグの発見、異常な操作パターンの再現確認は、人による判断が必要な場面が残っています。
スマートフォンやコンソールゲームの市場が拡大を続ける中で、テスト需要自体は増えており、デバッガーの仕事が丸ごと消える状況ではありません。ただし、テスト自動化ツールの知識やプログラミングスキルを身につければ、より上位の品質保証エンジニアの仕事に移ることができます。
まとめ
ゲームデバッガーがきついかどうかは、ゲームが好きかより、単純作業が好きでないとやっていけないかで決まります。
同一シーンを何百回も繰り返す反復テストが続く日があり、好きな作品が触れないまま旧作バグ確認が続く週もあります。最初の1週間でゲームが嫌いになったという体験者もいます。一方で、パズルを解くような面白さをバグ探しに感じられる人には、同じ反復が苦痛になりません。きつさと面白さは同じ作業から来ていて、どちらが前に出るかは反復作業への耐性で変わります。
ゲームへの愛着ではなく、その耐性だけが続けられるかどうかの分かれ目です。ゲーム業界での働き方をもう少し広く調べたい方は、ゲーム業界やめとけと言われる理由と向いている人もあわせてご覧ください。