制作進行

アニメ制作進行とは?仕事内容や年収、絵が描けなくてもなれるのかを解説

アニメ制作進行とは?仕事内容や年収、絵が描けなくてもなれるのかを解説

求人票で「制作進行」を見つけ、絵が描けない自分でも関われるのかを調べている人に向けた記事です。募集要項に画力の条件はなく、検索すると「きつい」「やめとけ」の声ばかりが並びます。

制作進行は絵を作る仕事ではなく、絵が上がるまでの段取りを作る仕事です。厚生労働省の分類でも事務職に当たり、必要なのは画力でも体力でもなく、人に無理を頼み続けられる胆力です。

1話の工程、月給、働き方の違いを見たうえで、いつか原画や演出をやりたい気持ちで入ると回り道になる仕事だと分かります。読み終える頃には、応募してよいかを仕事の中身で判断できます。

この記事の内容
  1. アニメ制作進行とはどんな職種か
  2. 制作進行の仕事内容
    1. アニメーターの確保(営業)
    2. 作画打ち合わせ
    3. カットの割り振り
    4. 上がりのチェック
    5. 素材の入れ回収
    6. 進行表の管理
    7. オールラッシュ後のリテイク対応
  3. なぜ制作進行はきついと言われるのか
    1. 5〜7話が同時に動き続ける
    2. 放送日が動かせない納期
    3. 裁量労働制で残業代が出ない
    4. 自分のミスでない件でも謝りに行く
  4. 制作進行の年収はいくらか
  5. 働く会社によって何が違うのか
    1. 元請けとグロス請け
    2. 規模による違い
    3. 雇用形態
  6. 制作進行に向いている人
    1. 自分の責任でない件を引きずらない人
    2. 締め切りの無理を人に頼める人
    3. 絵を描くより段取りを動かしたいと思える人
    4. 運転に抵抗がない人
    5. 名前の知られない作品でも手を抜かない人
  7. 未経験から制作進行になる方法
    1. 学歴や資格の条件を気にせず応募する
    2. 専門学校に通うかどうかを決める
    3. 経験不問の枠だけを絞り込む
  8. 制作進行のキャリアパス
    1. 入社5〜8年で制作デスクに上がる
    2. 設定制作から演出や監督へ回る
    3. グッズ会社や出版社へ移る人もいる
  9. まとめ
  10. アニメ制作進行に関するよくある質問
    1. 制作進行は1社に何人いますか
    2. 制作進行に運転免許は必要ですか
    3. 1話の制作期間はどれくらいですか
    4. 制作進行の呼び名は会社によって違いますか
    5. 制作進行の有効求人倍率はどれくらいですか

アニメ制作進行とはどんな職種か

エンドロールの制作進行の欄には、話数ごとに違う名前が並びます。その人たちは、その回の絵を1枚も描いていません。

1本のアニメは絵コンテから始まり、原画、背景、撮影と工程を渡っていきます。制作進行はシリーズのうち特定の1話を割り当てられ、その話が納品されるまで同じ人が最後まで持ちます。担当した回のスケジュール・スタッフ・素材の管理を総括し、納期通りに完成させるところまでが仕事です。絵コンテを受け取ったら、そこから香盤表、シーン割表、スケジュール表を自分で起こします。

厚生労働省の職業情報提供サイト job tag では、この職種を情報通信業の「他に分類されない総務等事務の職業」として位置づけ、事務職の一種として扱っています。入職に学歴は求められず、資格も要りません。絵を描く技能も条件に入っていません。

仕事の覚え方はOJT中心で、労働時間帯はやや夜型です。会社の多くは東京をはじめとする都市部にあります。

間口の広さと、続けられるかどうかは一致しません。求められているのは、絵の技能より段取りを止めずに回す力です。

制作進行以外にもアニメの現場には多くの職種があり、絵が描けなくても関われる仕事は他にもあります。

アニメ業界の職種一覧!制作側と製作側の違いや絵が描けなくても入れる仕事を解説

制作進行の仕事内容

30分アニメの1話は、絵コンテが上がってから納品まで2〜3か月かかります。その期間ずっと、同じ制作進行が1つの話数に張り付き、アニメーターへの声かけから進行表の更新まで工程ごとに違う相手と向き合います。

アニメーターの確保(営業)

アニメーターに100人声をかけても、次の話数を引き受けてくれるのは1人ほどにとどまります。アニメーターの確保では、この営業に近い動き方が日常的に求められます。

相手はフリーランスと他社所属のアニメーターで、社内の席だけで1話分の作画が埋まることはまずありません。過去に付き合いのある人の連絡先を辿り、空いている時期を尋ね、断られればまた次の相手へ電話をかけます。腕のいい描き手ほど先の予定が詰まっていて、こちらの都合に合わせてもらえる時期は稀です。

そのため、絵コンテを受け取る前の段階から、次の話数に入れるアニメーターを探して連絡を送り続けます。声をかける母数を増やす以外に打てる手はほとんどない状態です。返事の来ない相手を待ちながら別の相手に当たり、断られた記録だけが手元に残ります。作画をする人が集まらなければ、その話数はそもそも動き出しません。

作画打ち合わせ

作打ちと呼ばれる作画打ち合わせは、演出と作画担当が絵コンテを前に顔を合わせる場です。頭のカットから順に、何をどう見せたいかを話していきます。

制作進行はその間、演出が話すカットごとの意図を絵コンテの余白に書き取ります。判断を挟む余地はほとんどなく、聞いたことをそのまま作画担当へ渡す役回りです。書き取りが足りなければ、演出の言葉は現場に届きません。

もっとも、席に座っているのが担当のアニメーター本人とは限りません。他社にいて来られない相手には、書き込んだ絵コンテを後から届けにいきます。

カットの割り振り

30分アニメ1話はおよそ250〜300カットで構成されます。1人のアニメーターに割り振るのは15〜20カットほどで、単純に割れば1話あたり十数人分の手が要る計算です。その配分を書き込むのが、カットごとに作画担当を割り振るシーン割表です。

誰にどのカットを渡すかを決めた時点で、その話数が期日に間に合うかはほぼ決まります。上がりの遅い相手に枚数の多いカットが集まれば、後半に入って全体が止まる形です。しかも引き受けてくれる人数は限られているため、理想通りの配分ができるのはごく一部にとどまります。空いている人に空いている分を渡す形になることもあります。

実際に、一度渡したカットを別の相手に付け替えるのは、表を書き換えるほど簡単ではありません。

上がりのチェック

上がってきたレイアウトでは、作打ちの内容が反映されているか、服装や小物が設定通りか、カメラワークの指定が入っているか、タイムシートに記入漏れがないか、CG指示が抜けていないかを順に確かめます。

たとえば、C100からC183まで、このキャラクターには左耳にピアスがないと念を押した回がありました。それでも上がってきたレイアウトには両耳とも描かれていました。指摘して直してもらう分だけ、日程は後ろに動きます。

タイムシートを見ながら、このカットに動画が何枚必要になるかを数えます。絵が上手いか下手かの判断は、この確認作業の外です。そうした抜けを一つずつ照らし合わせるのが、この確認の役目です。見落とせば、抜けたまま次の工程へ流れていきます。

素材の入れ回収

素材は、いまも車で運びます。

紙で作業する演出や作画監督が在宅や他社にいるため、素材を車に積んで渡しに行き、日を置いて上がりを取りに戻ります。データでやり取りできる工程が増えても、紙の原画やタイムシートが残っている限り、その往復はなくなりません。移動そのものが業務時間の一部です。

実際に、入れ回収だけを専門に請け負う会社もありますが、そこまで外注できる予算のある現場は限られます。担当する話数の素材は、制作進行が自分で積んで走るのが基本です。渡しに行った先で修正の相談が始まれば、その分だけ戻りが遅くなります。

進行表の管理

制作進行の手元にある表は、1カットずつの進み具合を記入する進行表です。担当する話数の現在地は、この一枚を見れば分かります。

絵コンテが上がった時点で、そこから香盤表とスケジュール表を組みます。どのキャラクターがどのカットに出るか、どの工程がいつまでに終わっていなければならないかを、その時点で一度決めるのが最初の作業です。

書いた表は、書いた瞬間から現実とずれていきます。原画が上がらない、リテイクが出る、演出の手が空かないといった事態が毎日起きます。ずれるたびに書き直し、遅れをどこで吸収するかを組み直します。

それでも、書き直しは遅れの発生自体を止めません。制作デスクからC100が止まったままだと聞かれれば、誰の手元にあり、いつ渡して、次にいつ戻るのかをその場で答えなければなりません。表を開いて確かめている時点で、すでに遅れています。

だからこそ、表の更新を止めるわけにはいきません。止めれば、その話数の現在地は誰にも分からなくなります。

オールラッシュ後のリテイク対応

オールラッシュは、全カットに色がついた最初の仮完成ムービーを全員で見る日です。監督から各パートの担当までが並んで通しで見る場で、間に合わなかったカットがそのまま画面に流れます。担当した話数の遅れは、その場にいる全員に見えています。

上映が終わると、出た指摘がリテイク表に並びます。何本のリテイクが出るかは見終わるまで読めず、V編(納品)までの残り日数だけは先に決まった状態です。しかも、直しを頼む相手はすでに次の話数に入っていて、手を止めてもらう交渉から始まります。断られれば、別の相手を探すところに戻ります。

したがって、遅らせた本人ではなく、その話数の制作進行が画面に流れた遅れの理由を説明します。

なぜ制作進行はきついと言われるのか

制作進行の求人を調べると、きついという評判が先に目に入ります。募集要項より前に、その言葉のほうが検索候補に並ぶこともあります。何がきついのかは、評判の側からは見えません。

5〜7話が同時に動き続ける

テレビシリーズで同時に動く話数は5〜7話です。

担当している話数がひとつだけなら、慣れれば余裕も出ます。現実には、前の話数がまだ終わらないうちに次の話数の作打ちが始まります。撮影に回した回の直しを見ながら、別の回のコンテを読み、さらに先の回のスケジュールを引きます。頭のなかで走っている話数は、この5〜7話という数からそう簡単には減りません。

しかも、工程が違えば動かす相手も違います。原画を待っている回、動画に出している回、アフレコが近い回が同じ日に並びます。どれかが遅れれば、遅れた分は次の工程へ押し出されて消えません。止まっている回を抱えたまま、動いている回の段取りを組み続ける日々です。

放送日が動かせない納期

制作進行の納期は放送日で固定されています。編集や納品の都合で数日ずらすという調整が効きません。

納品が間に合わなければ、その週の放送が成立しません。放送枠は先に押さえられていて、埋まらなければ制作会社が違約金を負います。スケジュールの遅れは社内の話で収まりません。動かせない一点に向かって、遅れているものを間に合わせる仕事です。

裁量労働制で残業代が出ない

多くの制作会社は裁量労働制です。

働いた時間ではなく成果で給与を決める前提のため、深夜まで回収に動いた分も翌月の給与には乗りません。何時まで社内にいたか、何度車を出したかは金額に反映されません。

しかも、拘束が長引く原因は自分の作業量だけではありません。相手の作業が遅れれば、待つ時間も回収に動く分も増えます。他人の進み方に自分の拘束時間が引きずられる一方で、数えられるのは成果だけです。

自分のミスでない件でも謝りに行く

深夜0時に上がると言われ、取りに行きます。

出来ていません。あと少しと言われ、車を出したまま待つことになります。近くのコンビニの駐車場に停め、社内に戻る判断もできないまま、朝5時まで夜を明かしたこともあります。

上がらなかったのは自分の手元の作業ではなく、相手の作画です。それでも遅れは担当者の名前で報告に上がり、次の工程に頭を下げに行くのも同じ人です。締め切りの数日前になっても1カットも上がらない相手を抱えていれば、遅延の説明はそのたびに発生します。

そのうえ、こうした夜は給与に上乗せされません。働いた時間と手元に残る額の関係は、求人票の数字を見たほうが早く分かります。

ここで挙げた項目の多くは制作進行だけの事情ではなく、アニメ業界全体で語られる「やめとけ」の理由とも重なります。業界そのものの退職判断を考えたい人は、まず全体像を見たほうが判断しやすくなります。

アニメ業界はやめとけと言われる理由とは?向いている人の特徴など解説!

制作進行の年収はいくらか

求人票を見ると、制作進行の月給は23万〜30万円、年収では300万〜400万円あたりに収まる例が目立ちます。株式会社ティー・エヌ・ケーの正社員求人は月給23万〜30万円で完全週休2日制です。株式会社フォーミュレーション I.T.S. は年収300万〜400万円で未経験可、株式会社トムス・エンタテインメントは年収380万円で土日休みです(いずれも2026年8月時点)。

職業情報提供サイト job tag に出ている年収528.7万円はこれより高く見えますが、制作進行単体ではなく先述の分類区分全体の値です。同じサイトのハローワーク求人賃金は月額23.3万円(令和7年度、前年から1.3万円上昇)で、求人票の水準に近い数字になっています。

ただし提示された月給が働いた分の対価とは限りません。株式会社ジーアングルの求人は月給23.5万〜44万円ですが、内訳は基本給19.7万〜36.9万円と固定残業代3.8万〜7.1万円です。固定残業代は、働いた時間に関係なく一定時間分の残業代を月給に含めておく仕組みで、この求人では25時間相当が組み込まれた額になります。

裁量労働制はそもそも残業時間を数えず、あらかじめ定めたみなし時間で働いたことにする制度で、どちらも深夜の回収に動いた時間がそのまま給与に上乗せされることはありません。賞与は年1回、実績は1.5か月ぶんです。

求人票とは別の会社に新卒で入った元制作進行の記録では、手取りは16〜17万円ほどでした(本人も概数と断っています)。

同じ現場で絵を描く側のアニメーターは、担当する工程によって年収の幅が大きく変わります。制作進行と役割が近いぶん、比較しておくと立場の違いが見えてきます。

アニメーターの年収を担当別・会社別に解説!リアルな手取りと上げ方も紹介

働く会社によって何が違うのか

東京を中心とした制作プロダクションに、制作進行の職場は集まっています。

元請けであることを求人票の売り文句に掲げる会社もあり、どこに入るかで持つ話数も契約の形も変わります。

元請けとグロス請け

元請けは作品全体を任される会社、グロス請けはその一部の話数を引き受ける会社です。

1話の作業を丸ごと他社に委託することを制作グロスと呼び、発注する側がグロス出し、受注する側がグロス請けにあたります。元請け側の制作進行は自社で回す分を進めながら、外に出した話数の遅れも追いかけることになります。グロス請け側では、渡された1話を約束の日に納めるところが仕事の中心です。

実際に、線引きはそこまできれいではなく、グロス請けと元請け作品の両方を担当する制作進行もいます。内定先がそちらを本業としていることを売りにしていても、最初に持たされるのがどちらの話数かは入社してみないと分かりません。

規模による違い

大手と呼ばれる会社でも、社員数は数百人規模にとどまる例があります。

制作進行1人につき1話のみという体制であれば、慣れれば余裕があるところまで来ます。一方、手が足りない会社では担当が積み上がり、退職の直前には5本を同時に担当していた例もあります。持ち話数が増えるほど、1本あたりに使える時間は短いままです。

したがって、会社の規模そのものより、1人が何話を持たされるかで日々が変わります。同じ社名の求人であっても、抱える本数は配属される班ごとに違います。

雇用形態

同じ制作進行の席でも、正社員として採用される枠と、契約社員や業務委託契約で入る枠が並んでいます。業務委託の場合は、担当した分が終わったところで契約も終わりで、次の話数が回ってくるかどうかは契約形態次第です。契約社員として入った場合、正社員登用までの平均は3年と企業側が説明することもあります。

雇用形態が変わっても、多くの関係者との連絡調整が仕事の中心である点は変わらず、出社を求められる場面は契約に関係なく残ります。

制作進行に向いている人

優しい人ほど、制作進行を早く辞めていきます。

自分の責任でない件を引きずらない人

続けられる人には、電話をかける手が止まらないという共通点があります。

原画が上がってこないのも、演出の手が空かないのも、原因の多くは制作進行の外側にあります。それを自分の落ち度と切り分けられない人ほど、電話をかける手が重くなり、先に追い詰められていきます。

そのため、残った人は他人の分まで責任を感じません。相手が落としたなら落としたと事実として扱い、次にどこで埋めるかだけを考えます。冷たいという話ではなく、遅れの原因を自分の内側に持ち込まない人だけが、同じ動きを何話も繰り返せます。

締め切りの無理を人に頼める人

頼む内容が、そのまま相手の睡眠時間です。

これを3日で上げてくださいという頼み方は、相手にとっては3日寝ずに作業してくださいという意味になります。日程が押していれば、その依頼を毎日誰かに出すことになります。相手にも先の予定があり、断りたい話でもあるはずです。

それでも引き受けてもらわなければ、その話数は納品まで届きません。頭を下げる回数が増えるほど、次を頼みにくくなります。

また、自分のミスで、相手が3日かけたカットが全部使えなくなることもあります。原因は、伝え忘れた指示や渡し忘れた設定です。謝って、もう一度同じ日数を出してくださいと頼み直す以外に埋める手はありません。無理を言えないまま自分で抱え込めば、日程ごと共倒れになります。

絵を描くより段取りを動かしたいと思える人

アニメを作る側に入りたいという気持ちで応募しても、配属されて任される仕事は絵を作ることではありません。手を動かして絵を作るのは原画や動画の担当で、制作進行は自分の手では何も作らないまま、作品ができあがっていくのを外側で回し続ける立場です。

絵コンテを分けて、どの範囲を誰に頼むかを考える時間がこの仕事の中心です。誰かの絵が良ければ嬉しいとしても、それは自分が引いた線ではありません。この距離を物足りないと受け取る人は長続きしません。段取りが回ること自体を面白いと思える人だけが、この仕事を続けます。

運転に抵抗がない人

2026年8月時点で、株式会社ジーアングルが出している制作進行の募集要項では、応募条件欄に、業界経験と並んで運転スキルが書かれています。条件欄の並びが示すのは、求められているのが絵の技能ではないという点です。

運転スキルを条件に明記していない会社もあります。書いていない求人でも、素材を運ぶ日は同じように回ってきます。運転を避けたい人にとっては、入ってから逃げ場のない条件です。

名前の知られない作品でも手を抜かない人

担当する作品の大半は、放送後に誰の記憶にも残らないまま終わります。

話題作に入れる人はごく一部で、名前の挙がらない作品のほうが数としては上です。現場で会う演出も作画監督も、有名人という感じの人はまずいません。憧れの誰かと一緒に作るという入り方をすると、配属された時点で気持ちが落ちます。

それでも、期日は同じです。誰も話題にしない話数でも、カットは同じ数だけあり、確認と搬送の手間も減りません。作品の知名度で手を抜けば、その姿勢はいずれ日程の遅れとなって表れます。

未経験から制作進行になる方法

制作進行の求人票を開くと、応募条件欄に学歴や資格の記載が見当たりません。応募の前にそろえておく免状の類はなく、確かめる場所は学校の案内より先に募集要項の応募条件欄です。

学歴や資格の条件を気にせず応募する

まず応募要件の学歴欄を確認します。

job tag の記載どおり、制作進行は入職に学歴・資格を要しない職種として整理されています。四年制大学の文系学部から、アニメ制作の知識がないまま入った例もあります。美術系の課程を出ていないこと自体は、選考で不利にはなりません。

そのため準備の中心は、絵の技術を見せることではなく、連絡と段取りを止めずに回せると示す材料の側に寄ります。作品ファイルがなくても、履歴書と職務経歴書だけで応募できます。

専門学校に通うかどうかを決める

進学は前提になるのでしょうか。

職種を紹介しているページの多くは専門学校の運営で、進学ありきの内容で書かれています。アニメーション実技試験や色彩検定を案内する学校もありますが、どちらも制作進行の応募条件には出てきません。

そのうえ、学校で学ぶ絵や色の知識は、原画や仕上げの工程を読み解く助けにとどまります。日程を組み、電話をかけ、素材を受け渡す仕事には直結しません。進学の判断は、制作進行の入口だけで決める話ではありません。

経験不問の枠だけを絞り込む

次に枠の分かれ方を確認します。制作進行の募集には、未経験可と書かれた枠と経験者限定の枠が並んでいます。株式会社ジーアングルの求人のように、応募条件にアニメ業界での実務経験を求める会社もあります(2026年8月時点)。

経験者限定の枠に未経験で応募しても、書類の段階で止まります。絞り込みの手順は、募集要項の応募条件欄を先に読み、実務経験の記載がある枠を外すところから始まります。残るのが未経験の応募先です。

制作進行のキャリアパス

制作進行を続けた先は、大きく二つに分かれます。会社の中で肩書きを上げていくか、外の会社や別の仕事へ移るかです。

入社5〜8年で制作デスクに上がる

制作進行の次の肩書きは制作デスクです。

A-1 Pictures の新卒採用ページには、入社5〜8年でデスク、そこからさらに4〜5年でプロデューサーになる例が多いと目安が書かれています。デスクは複数の話数を横に見て人員と日程を割り振る側に回り、自分で素材を運ぶことはもうありません。ラインプロデューサーになると、一本の作品の予算と進行の責任をまとめて持つ立場です。

加えて、この年数はあくまで目安で、席の数は限られています。デスクの枠は一社に数人しかなく、上が詰まっていれば10年経っても回ってきません。

設定制作から演出や監督へ回る

管理側に上がるルートと、作る側へ移る経路は途中で分かれます。

管理側へ進めば制作デスク、ラインプロデューサーと肩書きが変わり、扱う単位が話数から作品全体へ広がります。作る側へ移る場合は、まず設定制作に就いて美術やキャラクターの設定を整理する立場に回り、そこから演出補佐、演出、監督と進む人がいます。

そのうえ、分岐点は本人の希望だけで決まりません。演出へ回るには絵コンテを読み解いて画面を組み立てる判断が要求され、制作進行として積んだ日程管理の経験はそこでほとんど通用しません。日程管理そのものに長けた人が抜けると、残った話数を回す代わりが立たなくなります。管理側で評価が高い人ほど、会社にとっては動かしにくい人材です。

グッズ会社や出版社へ移る人もいる

制作進行の期間に撮影の工程を覚え、次の作品が始まる前に撮影会社へ移った例があります。転職先が取引先だったという移り方は、この職種ではよくある形です。

移った先として名前が挙がるのは、声優事務所、グッズ制作会社、出版社、撮影会社あたりです。いずれも制作進行が日常的に電話とメールでやり取りしていた相手です。続けるか離れるかの判断は、絵を作る側に回りたいのか、作品を動かす段取りの側にいたいのかで変わってきます。

まとめ

制作進行は、絵を描かずにアニメ制作の中心に立てる職種です。その代わりに求められるのは、他人の遅れを自分の言葉で説明し、次の無理を頼みに行ける胆力で、ここが続く人と辞める人の分かれ目になります。

応募を決める前に見ておきたいのは、求人票の月給に固定残業代が含まれているか、元請けが本業の会社か、正社員か契約社員かの3点です。同じ制作進行でも、この3点で日々の忙しさと手元に残る額が変わります。

いつか原画や演出をやりたい気持ちが強いなら、制作進行はその回り道になりやすい職種です。

段取りが回ること自体を面白いと思えそうなら、まずは経験不問の募集を絞り込んで、募集要項の雇用形態と残業の扱いを確かめるところから始めてください。

業界内の求人や各社の選考時期は、アニメ業界を扱うエージェントの比較記事にまとめています。

【2026年版】アニメ業界に強い転職エージェントおすすめ8選!職種別の選び方も解説

アニメ制作進行に関するよくある質問

制作進行は1社に何人いますか

人数は作品体制によって決まり、定員は固定されていません。1作品あたりプロデューサー1名、デスク1名、設定制作1名という編成に対し、制作進行だけは3〜4人を配置します。

この人数配分は固定ルールではなく、スタジオの規模や体制によって前後します。

制作進行に運転免許は必要ですか

必須の免許として明記されない求人もありますが、実務ではハンドルを握れることが前提になっている職場がほとんどです。応募条件に運転スキルを挙げる会社がある一方で、素材の入れ回収そのものを専門業者へ外注している会社も存在します。

免許欄が空欄の求人でも安心はできず、入社後に運転を求められるかどうかは面接で確認しておいたほうが無難です。

1話の制作期間はどれくらいですか

通常は2〜3か月ほどかけて1話を仕上げていきます。放送に間に合わせる必要がある場合は、1.5か月程度まで期間を切り詰めて動かすこともあります。

期間が短いほど、アニメーターの確保やレイアウトチェックにかけられる余裕は減っていきます。

制作進行の呼び名は会社によって違いますか

はい、社内での呼称は会社ごとに異なります。東映アニメーションでは「製作進行」という名称が使われており、京都アニメーションでは同じ役割を「制作マネージャー」と呼びます。

求人票を比較するときは、肩書きの違いにとらわれず、応募条件欄の仕事内容そのものを見て判断してください。

制作進行の有効求人倍率はどれくらいですか

厚生労働省の職業情報提供サイト job tag によると、「アニメ制作進行管理」の有効求人倍率は令和7年度で0.72です。1を下回る数字は、求人数より応募者数のほうが多く、狙った枠に応募者が集まりやすい状況を示しています。

同じ制作進行でも会社によって月給や雇用形態の条件差は大きく、倍率だけで応募先を決めず求人ごとの条件を比較したうえで判断してください。

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