ローディー

ローディーとは?仕事内容・年収・なり方をわかりやすく解説

ローディーとは

ローディーは音楽のライブや録音現場で楽器・機材を預かる技術職です。荷物運びや付き人という印象が残っていますが、チューニングや弦張り替え、本番中のトラブル対応まで手を動かす機材の専門仕事です。

ただし収入の幅は大きく、固定給はほぼありません。担当するアーティストの活動量と規模によって、同じ「ローディー」という職名でも年収は数倍以上動きます。現場に多く入れるかどうかが、食えるかどうかをそのまま決める歩合の仕事です。

仕事内容・年収・なり方を読んで、自分の進路にローディーを残すかどうか判断してみてください。入口の条件や向いている人の特徴も、あわせて確かめてください。

この記事の内容

ローディーとは

ローディーは、音楽のライブやコンサートで楽器や機材を扱う裏方スタッフです。自転車好きを指す「ローディ」とは別物。荷物運びの雑用係でもありません。

楽器・アンプ・エフェクターを搬入搬出し、ステージを設営し、チューニングや弦の張り替えまで手を動かす機材技術の職人です。かつては「バンドボーイ」「ボーヤ」と呼ばれ、ミュージシャンに付いて回る見習いの色が濃い仕事でした。ただし近年は専門職として活動する人が増えています。

ローディーの語源と呼び名の変遷

ローディーという呼び名は、ロードマネージャー(road manager)からきています。昔は「バンドボーイ」「ボーヤ」と呼ばれました。ボーヤは、将来のデビューを見据えてミュージシャンに弟子入りし、機材を運びながら音楽の現場を覚える下積みの立場でした。

呼び名が「荷物運びの見習い」を連想させるため、雑用のイメージが今も残っています。実際の仕事は大きく変わりました。

機材を運ぶだけでなく、楽器を整え、本番中のトラブルに対応する。覚えるべきことは多く、見習いの延長では務まりません。「ボーヤ」という言葉の古い響きと、現場で求められる技術。

この二つは、もう同じではありません。

ギターテック・ドラムテックとの違い

テックは「ギターテック」「ドラムテック」のように、特定の楽器を専門に見る人を指します。ギターならギター、ドラムならドラム。一楽器への集中が前提です。

ローディーは違います。全楽器に対応する機材管理職です。ギターもベースもドラムも、アンプもエフェクターも、すべて視野に入れて動きます。チューニングや弦の張り替えは、ローディーの手仕事です。

もっともアリーナやドームクラスの公演では、ローディーとテックが分かれて配置されることもあります。専門に絞るのがテック、全体を見るのがローディー。超一流の演奏家には専属のテックが付く一方、ライブハウスでは一人のローディーが全部を抱えます。同じ機材まわりの仕事でも、守る範囲がまるで違います。

ローディーが活躍する現場

ローディーが働く場は、大きく三つに分かれます。コンサートツアーへの帯同、ライブハウス、レコーディングスタジオです。

たとえばツアー帯同では、都市から都市へ機材とともに移動します。会場が変わるたびに搬入と搬出を繰り返し、その合間に楽器を整える。現場を多く踏んだローディーは、主要都市の楽器レンタル業者の連絡先を頭に入れています。

本番直前に機材トラブルが起きても、その場で代替を手配できる。どの街に何があるかを覚えているかどうかが、ツアー中の実力差として出ます。

一方、ライブハウスやレコーディングスタジオでは、毛色が変わります。ステージ設営、チューニング、弦の張り替え、そして本番中の楽器交換。ギターが鳴らなくなった瞬間に別の一本を差し出す。

観客には見えないところで、その日の演奏を支える手が動いています。同じ「ローディー」でも、帯同型と常駐型では求められる動きが違ってきます。

ローディーと同じ舞台技術系の職種として、照明の仕込みや本番中の操作を専門に担う仕事もあります。音楽ライブの裏方として照明エンジニアの役割が気になる方は、下記で仕事内容を確認できます。

照明エンジニアとは?仕事内容・働く現場・キャリアの道筋をわかりやすく解説

ローディーの仕事内容

ローディーの一日は、機材車への積み込みから始まります。会場での設営と本番をはさみ、すべての機材を運び出すまでが一続きの仕事です。荷物を運ぶだけに見える工程の一つひとつに、判断と段取りが詰まっています。

機材の搬入と積み込みの技術

機材車に楽器やアンプを詰め込むとき、ローディーは荷台を一種のパズルとして扱います。順番、荷重、振動。この三つを同時に計算しながら、限られた空間に機材を収めていきます。

振動に弱い機材は、荷台のなかでも揺れの少ない位置を選んで積みます。ハードディスクを搭載した機材は、磁気の強いスピーカーから離す。近づければデータが飛ぶおそれがあるためです。

重い機材を下に、繊細な機材を上に。荷重のかかり方まで読みながら配置を組み立てます。どこに何を置くかで、目的地に着いたときの機材の状態が変わります。

積み降ろしを見れば、その人の段取り力がわかります。新人がまず叩き込まれるのも、ハイエースクラスの積み降ろしから。重い機材をてきぱきと出し入れする手順を体に覚えさせるところが、最初の関門になります。

とはいえ、積み込みで問われるのは力よりも段取りです。次の現場で誰が何を最初に下ろすか、到着後の動きまで見越して積む順番を組みます。荷物を運ぶだけに見える工程に、これだけの判断が詰まっています。

ステージでのセッティングとチューニング

会場に機材を運び込んでも、ローディーがすぐにステージへ上がることはありません。動き出すタイミングは、舞台監督から許可が出てから。音響や照明など他のセクションの仕込み順を頭に入れて、自分が入る瞬間を待ちます。

ステージは複数のチームが同時に作業する場所です。配線が床を這い、照明のバトンが上下する。そのなかで楽器のセッティングだけを先走らせれば、ほかの作業を止めてしまいます。

実際に楽器を組み上げたら、次はチューニングです。アンプの設定、エフェクターのつなぎ込み、弦の調整。アーティストが手に取った瞬間に最良の音が出る状態まで、ここで詰めていきます。

本番と同じ段取りで通すゲネプロで試されるのが、この仕込みの精度です。最近は公開ゲネプロの形を取る現場もあり、リハーサルの段階から観客の目が入ります。

本番中の楽器交換とトラブル対応

本番が始まれば、ローディーの仕事はステージ袖に移ります。曲の合間に楽器を差し替え、切れた弦をその場で張り替える。観客に気づかれないわずかな時間で、次の一曲に必要な状態を整えます。

トラブルは予告なく起こります。音が出ない、ケーブルが抜けた、チューニングが狂った。原因を一瞬で読んで手を打たなければ、舞台の進行が止まります。袖での落ち着きが、そのまま本番の安定を保ちます。

なかにはエフェクティングと呼ばれる仕事を任される人もいます。ステージ袖でエフェクターの踏み変えを、演奏者に代わって行う業務です。曲のどこで音色を切り替えるかを読み取る必要があり、ここには音楽センスが要ります。

とはいえこの役割は、誰にでも回ってくるものではありません。袖での楽器交換やトラブル対応を積み重ねた先に見えてくる、演奏そのものへ踏み込む仕事です。

撤収と機材管理

ステージが終わっても、ローディーの一日は終わりません。バラシと呼ばれる撤収作業が、ここから始まります。組み上げた楽器を解体し、ケーブルをまとめ、機材を一つずつ車に戻していきます。

搬出は搬入の逆をたどる工程です。来たときと同じパズルを、疲れた体で深夜に解くことになります。早朝の搬入から深夜の搬出まで、一日中拘束されるのが当日の標準的な流れです。複数日にまたがるツアーでは、それが連日続きます。

機材を車に積み終えれば、次の会場への移動が待っています。ツアーが続く分だけ、この工程が繰り返されます。

なお、撤収の速さと正確さも積み込みと同じく力量に直結します。深夜の疲れたなかで機材を傷つけずに車へ戻せるか。ここで雑になれば、次の現場の入りはそろいません。

ローディーの年収

ローディーの収入は、求人票に並ぶ数字だけでは判断できません。雇用の形も、月ごとの出方も、付くアーティスト次第で大きく動くためです。

年収の目安と歩合で決まる構造

収入は、担当アーティストの活動量と規模でほぼ決まります。固定給と呼べるものはほとんどありません。同じ職名でも、ドームツアーに帯同する人と、週1回のライブハウスに付く人とでは入る額が数倍違ってきます。

目安として紹介されることが多いのは年300〜400万円台。ある程度仕事が回っている人の数字で、新人がいきなりここに届くわけではありません。

歩合の出方も月ごとに振れます。本番が多い月とリハーサル中心の月とで手取りが動きます。

ただし、天井を決めるのは担当が誰かという点です。優秀なローディーは有名バンドから引っ張りだこになり、声がかかるほど稼働日数が増えていきます。付く相手の活動が止まれば、収入もそのまま止まります。

雇用形態別の収入の差

固定の雇用契約がつく人は稀で、業務委託契約かアルバイトで動く人がほとんどです。住宅手当や配偶者手当といった福利厚生は薄く、月々の額がそのまま生活費に直結します。

業務委託は、新人とベテランで月給の幅がかなり開きます。入りたての頃は月15万ほどから。指名が増えたベテランになると、月50万ほどに届く人もいます。新人とベテランで額の開き方は別の職業並みです。

たとえば楽器のレンタル会社などに企業所属で入ると、固定給は得られます。その額は月10万円程度にとどまることが多く、安定と引き換えに上限は低くなりがちです。

アルバイトは時給850円ほどから。日数を入れても、月の手取りは大きく伸びません。

稼ぎ方で変わる収入の幅

稼ぎ方の幅は、付く相手の規模でそのまま変わります。アリーナやドームを回るアーティストに帯同すれば、本番日数が積み上がり、月の額も上がっていきます。

その対極にあるのがインディーズバンド付きです。駆け出しのバンドに付くと、無給のケースもあります。機材を運び、セッティングし、本番を回しても、まだ収入にならない時期があります。

ライブハウスを地道に回る働き方と、全国のアリーナを回る働き方とでは、年間の稼働日数からして違ってきます。入る額の差はそこに比例します。

もっとも、最初から大きな現場に付ける人はほとんどいません。小さな現場で信頼を積み、声がかかる相手が変わっていく。その積み重ねで、入る額もゆっくり動いていきます。

ローディーになるには

求人サイトに掲載されることが稀で、業界内の紹介で人が動く仕事です。求人欄を探しても応募先そのものが見つかりません。入口は応募ではなく、現場で顔と手元を見てもらうところから始まります。

専門学校から入るルート

音楽専門学校のPA・コンサート制作系コースでは、在学中にミキサーの卓やステージの仕込みを触ります。学内ライブの卒業制作で機材を運び、ケーブルをまとめ、本番までの段取りを一通り経験します。そこで講師や卒業生から現場を紹介されて入る人がいます。

とはいえ、学校を出ていなくてもなれる仕事です。最低限いるのは機材知識と専門用語の理解。アンプの型番もシールドの挿し位置も知らないまま現場に立つと、指示の言葉が通じません。専門学校はその前提を先に埋める場として使われています。

バンドやライブハウスの現場から入るルート

アンプを台車で運び、終演後の搬出まで残って機材をしまう。地元のライブハウスに通って出演バンドの搬入を手伝ううち、その動きを出演者やスタッフが見ています。「ただでもいいからやらせてください」と申し出て、無給に近い形でまず現場に入った人がいます。声をかけてもらえるかどうかが、ここでの分かれ目でした。

そのため、最初に付く相手で立場が変わります。ミュージシャンの所属事務所付き、ローディー会社の所属、フリーランス。この三つのどれに転がるかで動き方が違います。

バンドが大きくなれば帯同が増え、解散すれば次のアーティストを探すところから。応募ではなく、顔と手元を見てもらって決まる入口です。

楽器レンタル会社の社員から入るルート

ライブやレコーディングの現場へ、機材を貸し出して運び、セッティングまで請け負う会社があります。楽器レンタル会社の社員として入る方法もあり、入れば毎日の仕事として機材の搬入とセッティングを覚えられます。日々同じ手順を繰り返す分、型番と扱いが体に入ります。

この入り方が、ローディーの中では最も固定給に近い形です。バンド付きやフリーランスが活動量で収入の上下する立場なのに対し、会社員として給与が出る分だけ生活が読めます。レンタル現場で機材を覚えてからアーティスト付きへ移る人もいます。音楽経験も人脈もないところから始めるなら、まず探すのはこの社員枠。

ローディーに向いている人

楽器を預かることと、好きなアーティストに近づくこと。この二つを混同した人から、現場で姿を消していきます。アーティストの命ともいえる楽器を任される立場のため、信頼されなければ次の現場には呼ばれません。向き不向きは、手元を見てもらえるかどうかで分かれていきます。

機材を任せられる人

任せてもらえる人は、何が違うのでしょうか。まず、楽器やステージの流れが頭に入っているかどうかが大きく効きます。バンド経験者はギターのシールド一本の挿し位置から、本番でアンプがどう鳴るかまで体で分かっています。動き出しが早いのはそのためです。

一方、楽器に触れた経験がない人がいきなり信頼を得るのは簡単ではありません。機材を雑に置かない、ケーブルを丁寧にまとめる、そうした手元の動きで任せられるかが決まります。口でうまいことを言っても、ステージ上では通じません。

長く続けられる人

現場経験者が共通して挙げるのは、記憶力・柔軟性・体力の三つです。膨大な機材の置き場とセッティングを覚え、当日の変更に動じず、長時間の搬入搬出に耐える。この三つが揃って初めて、次の現場にも呼ばれます。

記憶力は、どの楽器をどう積み、どこに何を置いたかを正確に再現する力です。リハで決まった段取りが本番直前で変わっても動じず対応できる柔軟さも要ります。体力はその土台で、欠ければ残り二つも回りません。

入口で詰まりやすい人

逆に、入口で足が止まるのはどんな人でしょうか。求人がほとんど表に出ない仕事のため、つながりがないまま募集を探し続け、何ヶ月もかけて入口にたどり着けない人がいます。応募先そのものが見つからないまま時間だけが過ぎていきます。

運良く現場に入れても、ミーハーな態度が抜けない人は早く脱落します。「この先どこへ向かうのか」と古参から問われることがあります。近づきたいという動機しか持たない人は、その問いに詰まります。何ができるかではなく誰に会えるかで現場を選ぶ人は、入口で詰まります。

ローディーを目指す前に、音楽業界全体の就労実態を把握しておくと、入ってからのギャップを減らせます。

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ローディーの将来性

ライブ市場は拡大を続けています。ただし、現場で機材を担げる年数には限りがあります。

ライブ市場の拡大と需要

2024年のライブ市場規模は6,121.6億円、前年比119%で過去最大を更新しました。動員数は5,938万人、前年比105.4%でこちらも過去最多です。内訳を見ると、アリーナ動員が前年比131.2%と大きく伸びた一方、ホール会場は89.1%に留まりました。

大型の会場へ動員が集まる流れです。実際に、機材を運び込む規模も会場の大きさに比例して膨らみます。オンライン配信のライブが増えても、会場での機材セッティングそのものはなくなりません。

体力の限界とキャリアの転身先

裏方として機材を担ぐ仕事には、年齢の壁があります。50代以上になっても現場を続ける人はほとんどいません。重い機材の積み下ろし、深夜の撤収、連日の遠征。

体力が落ちれば現場の数も絞らざるを得なくなります。実際に、長く業界に残る人の多くは、どこかの段階で現場の外へ移ります。制作会社やプロダクションのマネージャー職へ移る人が多く、現場で覚えた段取りや機材の知識が進行管理やアーティスト帯同で使えます。

なお、ライブ業界の現場とマネジメントをまたいで動くコンサートプロモーターの仕事内容は、ローディーからの転身先を考えるうえで参考になります。

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よくある質問

ローディーになるのに資格や免許は必要ですか

特定の資格や免許は必要ありません。

もっとも、大型機材車の運転が伴う仕事では普通免許以上が求められることがあり、フォークリフトを使う搬入作業では免許を持っていると戦力になれます。

音楽の専門学校を出ていなくてもローディーになれますか

学歴・学校歴は問いません。

とはいえ、機材の名称や扱い方、ステージの段取りをある程度理解していれば現場に入れます。専門学校はそうした前提知識を先に埋める場として使われていますが、独学やバンド経験で補える部分も多いです。

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ローディーは見習いの仕事で一生は続けられないって本当ですか

体力が落ちれば現場の数を絞らざるを得なくなるのは事実ですが、業界を離れる人は少数です。

現場で積んだ機材知識や段取りの感覚は別の職務でも通用するため、制作会社やプロダクションのマネージャー職へ移りながら業界で働き続けています。

ローディーとPA(音響エンジニア)は何が違うのですか

ローディーは楽器・機材の搬入やセッティング、本番中の楽器交換を担当し、PAは会場の音をミキサーで整える専門職です。

担当する領域がそれぞれ分かれており、アリーナ規模の会場では両者が同時に働いていますが、必要な知識と動き方は異なります。

まとめ

ライブやレコーディングで楽器と機材を預かる裏方、それがローディーです。荷物を運ぶだけの係ではなく、積み込みの段取りから本番中の楽器交換、撤収まで手を動かす機材技術職です。ギターテックやドラムテックが特定の楽器に専念するのとは対照的に、全楽器が守備範囲になります。

収入は固定給がほぼなく、担当するアーティストの活動量と規模で決まります。駆け出しのバンドに付いて無給に近い時期もあれば、有名アーティストのツアーに帯同して稼働日数が積み上がる人もいます。誰に付くかで、入る額の幅はそれだけ開きます。

入口も特殊です。求人サイトに載ることは稀で、多くは現場で声をかけてもらうところから始まります。専門学校、バンドやライブハウスの手伝い、楽器レンタル会社の社員。どのルートでも、機材を任せられると見てもらえた人が中に入っていきます。

ライブ市場は2024年に過去最大の規模へ広がりました。一方で、50代まで現場を続ける人はほとんどおらず、多くが制作会社やプロダクションのマネージャー職へ移っていきます。

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