照明エンジニア

照明エンジニアになるには?未経験からの入り方と1年目の現実を解説

照明エンジニアになるには?

照明エンジニアになるには専門学校が必須かどうか、未経験のまま応募できる求人が実際にあるかどうか判断できず、調べているうちに時間が経っている状況があります。

厚労省job tagによれば照明スタッフの平均年収は490万円、平均年齢33歳。正社員中心の業界ですが、大手は経験者要求が強く専門学校のつながりなしに新卒で入れる採用枠は限られています。

この記事では3つの入り方と、1年目に倉庫での機材メンテだけで終わる会社もある現実を踏まえて、どのルートで動き出すか判断してみてください。

この記事の内容

照明エンジニアになる入り方

厚労省のjob tagによれば、照明スタッフの平均年収は490万円、平均年齢は33歳です。Indeed掲載中の求人は2022年3月時点で全国3万2,400件以上あり、雇用形態の内訳は正社員77.8%、派遣9.9%、アルバイト8.2%、契約2.5%と、正社員雇用が中心の業界です。

業界への入り方は大きく3つ。専門学校・大学で照明技術を学んで照明会社へ進むルート、未経験から照明会社・制作会社に直接就職するルート、放送局の協力会社に入ってテレビ照明を経験するルート。それぞれ入り口が違い、1年目に任される作業も大きく異なります。

照明エンジニアの仕事内容・業務範囲を事前に把握しておくと、どのルートが自分の目指す方向と合っているか判断しやすくなります。

照明エンジニアとは?仕事内容・働く現場・キャリアの道筋をわかりやすく解説

専門学校・大学で学ぶ

千葉から東京の専門学校へ片道2時間、通学2年。コンサート照明の業界に入った人の典型的な学生時代の通学パターンです。授業は実技中心で、舞台美術や音響を学ぶ学生と同じ建物に通い、仕込みやばらしも共同で体験するカリキュラムです。

なお、学科名は学校ごとに違います。舞台音響照明学科、照明クリエイティブ科、コンサート・テレビ照明専攻。講師に現役の照明スタッフを置く専門学校もあり、学生のうちから実際の現場へ連れて行ってもらえる環境です。DMXと呼ばれる照明信号方式、cueシート、仕込み図といった実務用語は、実際の現場で手を動かしながら覚えていきます。

卒業時には、講師の斡旋でそのまま照明会社へ就職するルートが太いです。学校と照明会社のつながりが採用の入り口で、自分で求人を探す前に話が決まる学生もいます。

照明会社・制作会社に直接就職する

求人の77.8%が正社員。業界の主要雇用形態がここに集中します。

受け皿となるのは舞台照明会社、舞台演出会社、イベント制作会社、劇団です。さらにコンサート・ライブ専門、テレビ番組専門、企業イベント・展示会専門と扱う仕事の系統で分かれており、応募時点でどの系統に進むかがほぼ決まります。

未経験募集の会社・事務所もあります。最初は機材扱いや修理、設営を現場で覚えていく形です。学校を出ていなくても、ここから業界に入れます。

とはいえ、劇場や劇団に直属する専属スタッフのポストはわずかしかありません。多くは舞台照明・演出を本業にする会社に所属し、依頼を受けて現場へ出向く形で働きます。劇場勤務のつもりで入ると、実際の働き方は出ずっぱりの遠征が中心になります。

放送局・テレビ局の協力会社に入る

都内のテレビ番組専門学校を卒業し、テレビ局の協力会社に照明スタッフとして入社するパターン。テレビ照明に進む人によくある入り口です。番組制作の現場で動くのは局の社員ではなく、協力会社の照明班です。

テレビ局本体に直接採用される枠は限定的。そのため放送照明を仕事にしたい場合は、局名で会社を探すよりも、その局に出入りする協力会社を調べるほうが早道です。業界内での職種移動も活発で、照明からロケバスのドライバー、そこから芸能事務所へと10年のうちに3度仕事を変えた例もあります。

未経験から始める入り方

地方の会館管理業務は人手不足で入りやすい職場とされます。Indeedの2022年3月時点の集計では、全国の照明スタッフ求人は3万2,400件以上にのぼり、未経験OKを掲げる募集も一定数含まれていました。新卒で大手照明会社の門を叩く以外にも、地方の施設・派遣現場・隣接職種からの転身など、複数のルートがあります。

地方の会館・施設管理から入る

Indeed集計では、栃木県の照明スタッフ平均年収は387万円で、東京都のデータと比べると低く抑えられています。年収の水準は下がりますが、その分、大手を相手にしなくて済む分、採用の間口は広くなります。

大手照明会社は新卒採用でも現場経験に近い水準を求めるため、まったくの未経験から入るのはハードルが高めです。地方の会館管理業務は人手不足が続いており、ホールに常駐して照明・音響・舞台機構の運用を一通りこなす働き方が選べます。

たとえば地方の会館では、演劇公演で劇団専属の照明担当が来る場合もあれば、東京の照明会社から派遣スタッフが入る場合もあります。常駐スタッフは両方の機材セッティングに立ち会えるため、機材の使い方や仕込みの流れを実地で覚えられます。

派遣・アルバイトから現場経験を積む

派遣会社経由のアシスタントやイベント設営スタッフも、未経験者の入り方です。

Indeedの2022年3月時点の集計では、雇用形態の内訳は派遣9.9%・アルバイト・パート8.2%。正社員以外の枠が約2割を占めており、未経験募集の会社・事務所も含まれます。

夏フェスや年末年始のイベント、展示会シーズンといった繁忙期には、照明スタッフのアルバイト募集が一気に増えます。派遣やアルバイトの場では機材の扱い・修理・設営・撤収を実地で覚えていく形となり、座学で先に資格を取るより手が早く動くようになります。

派遣・アルバイトから正社員登用される流れは業界で広く見られます。入社初期は搬入と仕込みの手伝いが中心になるケースが多いものの、機材を触る量で差がつく仕事のため、経験年数の浅さを補えます。資格より先に現場の段取りを覚えた方が、その後の動き方が早くなります。

音響・映像・舞台美術など隣接職種から移る

音響・映像・舞台美術から照明へ移る人は実際に一定数います。

イベント制作の現場では、照明・音響・映像・舞台美術が連携して一つの公演を成り立たせます。たとえばタイムコードやDMX同期システムで複数セクションが同じ秒数で動く場面、音響エンジニアや映像エンジニア、舞台美術出身者は現場の動き方を体で理解しています。電気工事士の知識を持つ人なら、機材のトラブルシューティングで対応しやすい場面もあります。

そのため、舞台技術系の隣接職種から照明へ移る人の動き方については、音響エンジニアのなり方の記事も参考になります。

音響エンジニアになるには?専門学校・大学・未経験からのなり方を解説

アシスタントから5年で何ができるようになるか

1年目は現場に出させてもらえない会社もあります。倉庫内で機材のメンテや整理から始まり、社内の段取りを覚えていく形です。入社直後にコンサート会場へ立てるイメージで業界に入ると、最初の数か月で食い違いが出ます。

ここから一人前のオペレーターと呼ばれるまでは最低5年。さらにチーフオペレーターやプランナーへ進むか、独立してフリーランスになるか、5年目以降に進路が分かれていきます。

1年目は倉庫で機材メンテから始まる会社もある

倉庫の棚の前で、新人がパーライトとフレネル、ムービングライトを区別する作業から1日が始まります。

ツアー帯同のある会社では、初期の仕事は機材の名前・場所・仕組みを覚えるところから始まります。仕込み図を読めるようにする訓練、本番用の資料作成補助、先輩の手元の雑用。現場に出させてもらえない会社もあり、その場合は倉庫内で機材メンテや整理から入る形となります。倉庫で1か月、2か月と過ごしたあと、先輩から次の現場行くかと声が掛かってようやく現場デビューになるパターンも社内にあります。

ただし現場に出始めても、いきなり卓は触らせてもらえません。チーフが組むデータ作成や、ライブ進行を秒単位で記録するcueシートの管理は、最初は先輩の後ろで見て覚える領域です。入社後は昼夜逆転が当たり前で、リハーサルが朝までかかった翌日に午後から積み込みが入ることもあります。

業務の中身は、社風と会社規模で振れ幅が大きい部分です。コンサート系は機材の量も動線も多く、劇場系は1つの舞台を繰り返し仕込む形が中心になります。

一人前まで最低5年・現場経験で評価される

一人前のオペレーターになるまでは長く、相当な忍耐力が要ります。

入社直後はオペレーターのアシスタントとして勤務するケースから始まります。実務経験を積みながら進む先は、メインの照明卓を回すチーフオペレーター、あるいはライブや舞台全体の照明プランを引くプランナー。

専門学校の2年と合わせれば、卒業から7年でようやくプランナー側に立てる計算になります。土日は絶対に仕事、時間は不規則、休めない、安月給。5年を完走できる人だけが次のポジションに進める仕組みです。

そのため業界では、勉強や資格よりも現場経験と現場修業が評価軸として動きます。日本照明家協会の2級資格を持っているかどうかは、採用と昇格の判断軸にはなりません。何本のツアーに帯同したか、どの規模の現場で卓を触ったか。土日や夜の現場が当たり前に続く5年を耐え抜けられるかどうかが、最初の関門となります。

フリーランス・独立という道

5年以上を社内で過ごしたあと、フリーランスとして独立する道もあります。

たとえば高校の演劇部から専門学校、卒業後は照明会社、そこで5年から10年勤めたあとに独立する流れは舞台照明の典型ルート。フリーランスの照明スタッフが、社員ではなく外部スタッフとしてどの現場にも常駐するパターンも業界内でよく見られます。舞台や演劇を主戦場にしつつ、他社や他のフリーランスのつながりからコンサート・ライブ・イベント・ファッションショーの仕事を受ける形が広がっていきます。

ただし独立後の収入は所属時代と別物。年収の動き方や担当別の給与差は、▶ 照明スタッフの年収はいくら?分野・経験年数別のリアルな収入を解説で解説しています。

よくある質問

大卒と専門卒で差はあるか

ほぼ差がありません。ベテラン業界人の評価では、専門卒と大卒の違いは「専門用語と若干の操作を知っているか知らないか、その程度」です。機器の操作方法さえ教えてもらえば、高卒の人にもできる仕事です。

必要なのは「勉強」や「資格」よりも「現場経験」「現場修業」です。一人前になるまで最低5年の忍耐力が問われるため、学歴よりも適性と継続力の方が重要になります。

月にどのくらい休めるか

休日は雇用形態と現場種別で大きく変わります。コンサートやツアー帯同の場合、土日は絶対に仕事で時間も不規則、月休1日のケースも存在します。一方、劇場やホール常駐の場合は、相対的に規則性が出やすい傾向です。

イベント当日に合わせた準備が必要なため、勤務時間や休日は不規則になりやすい職種です。

ツアー帯同はどんな働き方か

都道府県を回れる、他セクションとの交流が広がる、達成感が得られるのがメリットです。一方、自分の時間が作れない、月休1日のこともあるのがデメリットです。

入社初期の仕事は機材の名前・場所・仕組みを覚える、仕込み図の理解、資料作成補助、雑用に充てられることが多く、現場に出させてもらえない会社もあります。会社によって「次の現場行く?」と声が掛かるパターンと、倉庫内で機材メンテから始まるパターンに分かれます。

地方に住んでいても照明の仕事はあるか

あります。Indeed のデータでは、東京都の照明スタッフ平均年収635万円に対し、栃木県は387万円と差がありますが、地方の会館管理業務は人手不足で入りやすいのが現状です。

地方の公立ホール・市民会館の常駐スタッフは、採用も安定傾向にあります。舞台やコンサートは巡業で地方へ出張する機会も多く、出張手当が出ることが多いため、地方拠点でも仕事の機会は十分あります。

女性でも続けられるか

業界の体力負荷は性別で評価しません。カムロック(幹線電源ケーブル・1人では持つのが困難)やムービングライト(1人では持てない)など重い機材の運搬が日常ですが、現場で問われるのは体力の有無であり、性別ではありません。

とはいえ、現場の雰囲気は会社によって違います。怒号が飛んだり、疲労でイライラする人が多い環境もあれば、そうでない現場もあるため、社風を面接で確認しておくと、入職後のギャップが減ります。

まとめ

照明エンジニアになる入り方は、専門学校から照明会社へ進むルート、高校・大学卒で照明会社に直接就職するルート、放送協力会社で経験を積むルートの3つです。地方ホール・派遣・舞台機構などの隣接職からの未経験ルートもあります。

そして、入社初期は倉庫メンテナンスや機材積み込みから始まる会社もあります。一人前と呼ばれるまでは最低5年が目安で、現場経験と人脈を積んだあとに独立して個人事業主になる人も一定数います。

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