Webtoonとは?仕組み・収益・オワコン説までわかりやすく解説
スマホの縦スクロールアプリでWebtoon作品を見かけ、紙の漫画と何が違うのか、なぜここまで人気なのかを検索する動きが増えています。
Webtoonは無料で読める話が多い一方、日本の電子コミック市場は2025年に5,273億円規模まで拡大しています。この二つは矛盾せず、課金・広告・映像化権という複数の稼ぎ方が並走しているだけです。
収益の仕組みと海外プラットフォームからの撤退事実を並べて見れば、Webtoonが一過性のブームなのか、これから関わっても大丈夫な領域なのかを、自分の基準で判断できるようになります。
この記事の内容
Webtoonとは何か
アプリを開くと、指1本で下にスクロールしながらカラーのコマを読み進めていく画面が広がります。この読み方をするデジタル漫画が、韓国発祥のWebtoonです。
スマホで縦に読むデジタル漫画
Webtoonは韓国発祥で、スマホの画面を親指で下にスクロールしながら読むフルカラーの漫画です。紙のページをめくる動作は存在しません。1話分を上から下へ流し読みし、コマの区切りより先に絵と絵の縦のつながりで話が進みます。
読み終えるまで指を止める場面が少なく、次のコマが画面の下からすぐに現れる作りになっています。白黒が基本の紙媒体とは異なり、背景から人物の陰影まで色がついた状態で配信されるのが前提です。
従来の日本式マンガとの違い
日本式マンガは、一人の漫画家がネームから背景、仕上げまでを一貫して手がけ、白黒で描き上げるのが基本です。Webtoonは違います。原作・作画・彩色・レタリングといった工程ごとに担当者が分かれ、チームで1話を仕上げる分業体制がとられています(その内訳はコスト構造の項で扱います)。
一人が全ページに責任を持つ紙の制作と、複数人が持ち場を分けて進める制作は、作り方の設計そのものが異なります。とはいえ、どちらも1話単位でストーリーを完結させる連載の形式です。
そのため、この分業体制は後述するコストや報酬の仕組みにも直結しています。
縦読み漫画・タテヨミとの呼び分け
WEBTOONはNAVER WEBTOON Ltd.が保有する登録商標で、固有のサービス名です。日本国内では縦にスクロールして読む形式全般を指す一般名称として「縦読み漫画」「タテヨミ」という呼び方も広く使われています。
商標としてのWEBTOONと、フォーマットを指す一般名称としての縦読み漫画は、同じ言葉として扱えるものではありません。
読者がWebtoonを支持するようになった理由
コロナ禍で外出が減った時期に、Webtoonは一気に読者を広げました。
スマホ時代の巣ごもり需要に刺さった
コロナ禍で外出が減り、自宅で過ごす時間が一気に増えました。テレビの前に座り込まなくても、スマホ1台で完結する縦読み漫画は、そうした在宅時間の受け皿になりました。通勤や外出の合間に少しずつ読むこれまでのスタイルとは違い、まとまった時間を1本の作品に費やす読者が増え、スマホ時代らしい読み方が定着していきました。
紙の漫画や従来の横読み電子コミックは見開きでコマを構成しますが、Webtoonは片手・縦持ちのスマホ画面に合わせてコマが縦一列に並びます。指でスクロールするだけで読み進められる形式は巣ごもりで伸びたスマホ利用時間とかみ合い、ページをめくる動作すら要らない手軽さが外出を控えていた時期の需要を取り込みました。
映像化のヒットが連鎖した
Webtoon発の映像化ヒットも重なりました。韓国発の梨泰院クラスは日本で六本木クラスとしてリメイクされ、俺だけレベルアップな件はアニメ化されるなど、原作がWebtoonの作品の映像展開が次々に広がっています。
実写ドラマやアニメをきっかけに作品名を知り、そこから元の作品にたどり着く読者も増えました。読んでいなくても、実写やアニメで名前を知るという入口が増えています。
Webtoonの収益はどう成り立っているのか
冒頭は無料で読めるのに、どこでお金が発生しているのでしょうか。Webtoonの収益源は一つではありません。
先読みチケットの課金
序盤から読み進めていくと、多くの場合、課金の案内に行き当たります。続きは待てば無料で読めるか、先読みチケットやアプリ内通貨を購入すれば今すぐ読めます。選ぶのは、待つか払うかの二択。
多くの作品は毎日1話無料・曜日固定の連載形式です。続きが気になったところで、課金導線に出会います。無料で追う人と、先読みで一気読みする人が同じ作品の中で共存しています。
閲覧数に応じた広告収入
広告収入の内訳は、バナー、話の合間に挟まるインタースティシャル、動画の3種類です。無料で読む読者が多いほどこの3種の表示回数が増え、閲覧数に比例して収入が伸びていきます。
課金しない読者も、閲覧という形でプラットフォームの収益を支えます。
映像化などライセンス権の二次利用
一本のヒット作は、プラットフォーム課金だけにとどまりません。原作がWebtoonで生まれ、映像化を経てグッズや関連商品へと広がっていきます。
この二次利用は、月額課金や先読みチケットとは別枠の収益です。届く作品は限られますが、届いた作品の収益規模は課金収入だけでは測れません。
ただし、Netflixでの実写化やグッズ化まで作品が届くかは、原作の人気に左右されます。
分業スタジオ制作というコスト構造
Webtoonの制作は、原作、ネーム、線画、着彩、背景という工程を分けた約10人規模の分業スタジオ体制で進み、この人数構造がそのままコストに直結します。
その報酬水準は、taskey STUDIOのデータによると原作担当の例で1話6,000円に印税NET10%を加えた形です。Confidence Creatorの試算では、WEBTOON作家の平均年収は約500万円で、ヒットした人は億単位に届くこともあります。
さらに制作の現場では、完読率や離脱点、先読み課金の反応といった指標を見ながら次の話数の演出を調整するという運用です。そのため報酬は一律ではなく、数字の積み重ね方によって作家ごとに大きく開いています。
市場から見たWebtoonはオワコンなのか
Webtoonはオワコンなのか。この問いが検索窓に打ち込まれること自体、期待と失望が同居しているフォーマットである証拠です。
相次ぐ海外プラットフォームの撤退
カカオピッコマの欧州法人は、設立以来の全期間で営業損失を計上し、2024年5月に撤退を発表しました。同社は中国市場からもすでに撤退済みで、巨大プラットフォームでさえ海外の直接展開では苦戦が続きます。撤退は韓国系企業だけの現象ではありません。
実際、国内でも同様の動きがあります。セガサミーHDとパピレスのWebtoon資本業務提携が2026年7月15日に解消決議され、セガサミーHDの発表によると保有株10.37%が放出される見通しです。数年前まで各社が一斉に旗を立てた領域から、資本が静かに引いている状態が、2024年から2026年にかけて続いています。
そのため、海外の直接展開という一つの切り口だけを見れば、Webtoonは退潮しているように映ります。
むしろ拡大している国内市場
紙と電子を合わせたコミック市場全体は2025年に8年ぶりのマイナス成長となりましたが、これは紙の単行本・雑誌が落ち込んだ影響です。電子コミックに絞れば、前年比2.9%増で伸びは止まっていません。世界のWebtoon市場も2028年に3兆円超と予測されています。
ただし二桁成長が続いた時期に比べれば、伸び率は明らかに鈍化しています。それでもKADOKAWA・小学館・集英社といった大手出版社が本格参入し、人気作のアニメ化・実写化も途切れていません。プラットフォーム側の撤退と、コンテンツ側への投資拡大が同じ時期に並走しています。
領域を切り分けて判断する
オワコンかどうかの見極め方は、Webtoonという言葉を一つの塊で語らないことにあります。縮んでいるのは海外プラットフォームの直接展開で、太っているのは課金と映像化IPです。
同じWebtoonでも、向かう方向は正反対です。撤退のニュースと投資拡大のニュースは、どちらも同時に本当のことです。市場を領域ごとに分けて眺めれば、一つの見出しに振り回されずに現在地を捉えられます。
Webtoonに関わる仕事
読者がスマホで指を滑らせるだけの縦読み画面の裏には、物語を考える人だけでなく、絵を仕上げる人や配信を運営する人も関わっています。分業制作の実態は別記事に譲ります。
中でも、原作(ストーリー)を考える人がいれば、コマ割りを決めるネーム、絵を描く線画、色を塗る着彩、背景と、工程ごとに担当が分かれています。ひとつの作品に約10人のチームが関わる体制です。
そのうち原作パートの報酬は工程や実績によって幅が大きく、金額の水準は収益の仕組みの見出しで紹介した通りです。
さらに、絵を仕上げる分業スタジオの外にも、配信プラットフォームの運営担当や海外展開のための翻訳担当など、読者の目に触れない仕事があります。なお、着彩や線画といった現場がどれほどきついのか、向いている人の特徴とあわせて次の記事で解説しています。
▶ WEBTOONの仕事はきつい?着彩・線画のリアルな実態と向いている人を解説
Webtoonに関するよくある質問
Webtoonと普通の漫画は何が違うのですか?
スマホでの読み方と色付けが違います。紙の漫画は見開きでコマを構成し白黒が基本ですが、Webtoonは縦一列のコマをフルカラーでスクロールしながら読む形式です。
コマ割りの発想そのものが異なるため、同じストーリーでも紙とWebtoonでは演出の作り方が変わってきます。
Webtoonは無料で読めるのに、どうやって儲けているのですか?
タダの範囲を超えた続きに課金してもらう仕組みが土台になっています。待てば無料で読める分と、先読みチケットで今すぐ読める話数を分けることで収益を確保しています。
これに加えて、広告収入や映像化のライセンス収入も並走する形になっており、単一の課金モデルだけに依存していません。
カカオピッコマが撤退したと聞きましたが、Webtoonはもう下火なのですか?
カカオピッコマの海外撤退だけを見ると下火に映りますが、苦戦しているのは海外プラットフォームの直接展開に限られます。国内の電子コミック市場やコンテンツそのものへの投資は縮んでいません。
撤退と拡大は別の領域で起きている事実なので、どちらか一方だけを見て判断するのは早計です。市場全体を一括りにせず、分野ごとの動きを分けて追うことが判断の近道になります。
Webtoonの作家になると年収はどれくらいですか?
作品の反響や担当する工程によって差が大きく、一律の金額は示せません。原作作家の報酬水準や平均年収の目安は、本文の「分業スタジオ制作というコスト構造」で紹介した数値が参考になります。
分業体制での働き方や、作家としての実際の働き方の詳しい実態は、本文で紹介した仕事内容の記事で確認できます。
まとめ
縦スクロール・フルカラーという読み方の違いだけでなく、先読み課金・広告・映像化権という複数の収益源を持つのがWebtoonというコンテンツです。分業スタジオでの制作体制がその収益を支えている一方、海外プラットフォームの直接展開では撤退が相次いでいるのも事実です。
セガサミーHDとパピレスの資本提携解消のように、国内でも静かに手を引く動きが出ています。それでも日本の電子コミック市場自体は伸びを続け、大手出版社の参入や映像化の連鎖も止まっていません。
Webtoonがオワコンかどうかは、一つの見出しでは判断できません。縮んでいる領域と伸びている分野を分けて見ることで、自分なりの現在地の捉え方が見えてきます。