ゲームプロモーションとは?手法・事例・効果測定の考え方までわかりやすく解説
ゲームプロモーションには動画広告やSNS運用など多くの手法があります。認知やダウンロードを伸ばそうにも、限られた予算のなかでどれを選ぶべきか、一覧だけでは判断がつきません。
手法を10種類前後並べる記事は多い一方、CPIやROASなど効果測定の指標を定義から解説するサイトはほとんど見当たりません。手法を知るだけでは判断の物差しを持てません。
本記事では、ASOなどゲーム特有の手法をCPI・CPA・ROASと結びつけて整理します。読み終える頃には、自社の予算と体制で回せる施策を絞り込み、次に何を試すか判断できます。
ゲームプロモーションとは
ゲームプロモーションとは、スマホやタブレット、PC向けのゲームアプリについて、認知を広げるところからダウンロード、そして課金までを後押しする販促活動を指します。プレイヤーがまだタイトルの存在を知らない段階から、実際に遊んでお金を使う段階まで、その一連の流れをつくることが目的になります。
背景にあるのは、国内ゲーム市場の大きさです。2025年3月期の売上を見ると、バンダイナムコホールディングスが1兆2,415億円、任天堂が1兆1,649億円、スクウェア・エニックス・ホールディングスが3,245億円という規模に達しています。
モバイルに目を向けても、2024年上半期の日本のモバイルゲームのダウンロード数は前年同期比で2.5%増えました。
市場が伸びる一方で、遊ぶ相手が増えれば、その分だけ競い合う新作も増えます。限られた予算のなかで、どう認知を取り、どうダウンロードへ運ぶか。この問いに答えるのが販促の役割になります。
広報との違い
広報とプロモーションは、同じ会社のなかで向かう先が違います。広報が引き受けるのは、会社としてのリリース発表やメディア対応で、企業そのものへの信頼を築く仕事です。一方でプロモーションが向き合うのは、個々のタイトルの販売促進になります。
新作アプリのダウンロードを伸ばし、課金へつなげるところまでが受け持ちです。同じ認知づくりでも、届ける相手は同じではありません。広報は会社の名前を、プロモーションは目の前のゲームを前に出します。
ゲームプロモーションの主な手法
ゲームプロモーションで使える手法は、SNSやWebサイト、テレビCM、プレスリリースまで含めると幅広く広がります。ここではそのなかでも、スマホやPC向けゲームアプリならではの主要な施策に絞って掘り下げます。
動画広告
新作の告知PV、アプリストアに載せる掲載動画、展示会のブースで流す映像、配信面に出す広告用の動画。ゲームアプリのプロモーションでは、ほぼ全ての接点で動画が使われます。
ゲームそのものが動きと音で成り立つため、静止画のバナーだけでは操作感やテンポが伝わりきりません。そのため、プレイ画面を数秒見せるだけでも、遊んだときの手触りが視聴者に届きます。一本の動画で、認知の入り口から遊び方の理解まで幅広くこなせる点が、動画が全ての場面で選ばれる理由になっています。
プレイアブル広告
プレイアブル広告は、広告のなかでゲームの一部を実際に操作させ、そのままダウンロードへ誘導する手法です。たとえばパズルを一手だけ動かす、キャラクターをひと振りだけ操作するといった体験でしょう。
短い体験でも、遊ぶ前に手が動いた広告は記憶に残りやすくなります。実際に触ってから入るぶん、インストールしたあとで遊んでみたら思っていたものと違う、というズレも起きません。見て終わりの広告と、触ってから入る広告とでは、そのあとダウンロードに動く人の割合が変わります。
インフルエンサーマーケティング
インフルエンサーマーケティングは、実況者のプレイ動画によって、ゲームの中身を視聴者に体験として届ける手法です。配信者がコントローラーを握り、初見のリアクションがそのまま画面に流れていく場面は、公式が作り込んだPVにはない説得力を持ちます。配信者とタイトルの相性が合えば、その配信を見ていた視聴者が、そのまま新規プレイヤーへ変わっていくでしょう。
アプリストア最適化
アプリを認知したきっかけを尋ねると、ストア内での検索を挙げる人も一定数見られます。ストアそのものが発見の入り口になっている点は見過ごせません。
アプリストア最適化は、ストアのタイトルや説明文、スクリーンショット、キーワードを整え、検索からの流入を増やす取り組みです。実際に、掲載情報を磨くほど検索での見つかりやすさが積み上がり、配信し続ける広告とは違う効き方をします。遊びの魅力が伝わるスクリーンショットを一枚差し替えるだけでも、ダウンロードの数字は動きます。
事前登録プロモーション
配信前に登録者を集めておき、リリースと同時に一斉にダウンロードへ動いてもらう。事前登録プロモーションは、このローンチ初動づくりを狙った施策です。登録数に応じて特典を配る形が多く、集まった数字が伸びるほど期待感も広がります。そこで初動のダウンロードが一気に集中すれば、ストアランキングの上位に食い込み、そこからの自然な流入も見込めます。
リアルプロモーション
リアルプロモーションは、街頭やイベントといった現実の場を使い、プレイヤーに体験そのものを届ける手法です。都内の主要駅の屋外広告に暗号を仕込み、解読すると特典が受け取れる仕掛けを展開した例もあります(詳しくは後述の成功事例で紹介します)。
画面の中だけで完結しないぶん、話題が写真や投稿として広がりやすく、まだ遊んでいない層の目にも触れるでしょう。実際、足を運ぶ手間がかかる企画ほど、参加した人が語りたくなる熱量は濃くなります。
施策の効果はどう測るのか
同じ広告素材でも、配信フォーマットを変えると1インストールあたりのコストは大きく変わります。施策は打っても、効果があったかどうかは、数字の物差しがないまま判断できません。
CPIで見る獲得コスト
CPIは、1インストールを得るためにいくらかかったかを示す数字です。計算はむずかしくなく、広告費をインストール数で割れば出せます。
たとえば同じ広告素材でも、見せ方しだいでこの数字は動きます。パズルゲームのガーデンスケイプは、Instagramストーリーズ広告と比べ、プレイアブル広告への切り替えでCPIを約50%下げています。
この数字はガーデンスケイプ1社の実績で、他ゲームへそのまま当てはまる保証はありません。プレイできる形式が実際の遊びに近いほど、興味を持った人だけが広告から入ってくるため、コストは締まりやすくなります。
とはいえ、CPIは低いほどよいとは限りません。安く集めても遊び続ける人が少なければ、その先の売上にはつながりません。
CPAとROASの違い
CPAとROASは、どちらも費用に対する成果を測る数字ですが、測っている中身は重なりません。
CPAは、会員登録や課金といった特定成果1件あたりの単価を指し、ひとつのアクションにいくら払ったのかが分かります。一方ROASでは1件の単価は見ず、広告費に対する売上の回収率を見ます。投じた広告費が何倍になって戻ったのかを示す数字です。
たとえば同じ1万円を使っても、CPAは安いのにROASが低い、という組み合わせは珍しくありません。登録が増えても、その先でお金を払う人が少ないからです。
無料で始めて課金で稼ぐゲームでは、登録の安さより回収率のほうが最後にものを言います。
指標の使い分け
施策の段階が変われば、見るべき数字も変わります。まず名前を知ってもらう段階で見るのは、リーチや動画の再生数であり、この段階では1インストールのコストはまだ主役ではありません。インストールを増やす段階に入ると、CPIが中心になります。安く集まっているかを見きわめる数字です。一方、払ってもらう段階では、ROASから目を離せません。
ただし、CPIやROASの水準はゲームのジャンル・ターゲット・季節で大きく変わります。他社の数値を、自社の目標値にそのまま流用できません。
ゲームプロモーションの成功事例
成功事例は数を並べるほど印象に残りにくく、1件ずつ、なぜ効果が出たのかを追うほうが自社への当てはめがしやすくなります。以下の4つは、狙いも仕掛けもそれぞれ違います。
ドラゴンクエストウォークの位置情報AR
ドラゴンクエストウォークは、AR技術と位置情報を掛け合わせ、プロ野球パ・リーグの6球団とコラボしました。試合が行われる球場内にゲームのモンスターが現れ、実際に足を運んだ来場者には限定グッズが手渡されます。スマホの画面の中だけで完結していた遊びを、現実の球場という場所へ引き出した形です。ファンはゲームのために球場へ向かい、野球の観客はゲームに触れる、という双方向の流れが生まれました。
この施策の要は、実会場に足を運ぶと限定要素が手に入るという導線にあります。リアルの行動とゲーム内の報酬がつながると、プレイヤーは画面の外でもタイトルを意識し続けます。オンラインの広告だけでは作りにくい体験です。
もっとも、屋外での大がかりな仕掛けは、球団という既存の集客基盤との組み合わせがあって初めて回ります。
あつまれ どうぶつの森のSNS運用
英語版のIsabelle公式アカウントは、SNSで多くのフォロワーを集めました。単発の広告出稿だけでは届きにくい規模です。
実際、あつまれ どうぶつの森では、ゲームに登場するキャラクターがそのままの人格でSNSを運用し、日々の投稿でファンとの日常的な接点を作り続けます。たとえば発売前後の告知だけでなく、季節の話題やちょっとした挨拶も、キャラクターの口調のまま届けられます。宣伝色の薄い投稿がファンの生活に溶け込み、タイトルへの好意が時間をかけて厚くなりました。
超探偵事件簿レインコードの屋外広告
超探偵事件簿レインコードの屋外広告は、東京都内の8駅12カ所に暗号を散らばせました。街を回って暗号をすべて解くと、キャラクターの目覚ましボイスがもらえます。広告を眺めて終わりではなく、通行人を駅から駅へ歩かせる仕掛けです。
実際、ここで効いているのは、参加者自身が体を動かして初めて報酬にたどり着くという設計でした。ポスターの前で足を止めさせるだけでなく、次の駅へ向かう理由まで用意しています。そうして街を巡った時間そのものが、タイトルの記憶と結びつく設計でした。
ガーデンスケイプのプレイアブル広告
ガーデンスケイプのプレイアブル広告は、静止画や動画で見せる従来型の広告とは対照的です。壊れた椅子やホースを修理する場面を、広告の中でプレイヤー自身に触って体験させます。遊びの一部を先に味わってもらってから、インストールへ進んでもらう流れです。
CPIの項で触れた通り、見せる広告から触れる広告へ形式を寄せたことが、1インストールあたりのコストにも表れています。同じ商材でも、伝え方を一つ変えるだけで結果が動いた事例でした。
自社に合う施策の選び方
どの施策を選ぶかは、予算の大小だけで決まるのでしょうか。実際に現場で摩擦になりやすいのは、制作や運用の担当がどれだけゲームを理解しているか、そしてクリエイティブの質と納期をどう保つかという実行フェーズの部分です。手法だけを先に決めても、動かす体制が伴わなければ空回りします。施策選びは、手元で回せる体制とセットで考える必要があります。
予算規模で向く施策は変わる
テレビCMや大規模IPコラボと、SNS運用やASO。この二群は、必要な予算も動かす人手もまるで違います。予算が大きいほど選べる幅が広がるように見えて、実際はそう単純ではありません。
テレビCMや大規模IPコラボは、まとまった予算に加えて、素材の発注から掲載までを仕切る担当が要ります。お金を確保しても、進行を動かす人がいなければ出稿は前に進みません。
一方、SNS運用やASOは小さく始められます。日々の投稿やストアの見せ方を自社で調整でき、外部への大きな発注を挟まずに着手できます。使える金額そのものより、手を動かせる人が社内にいるかで、選べる打ち手は分かれるでしょう。
そのため施策を絞る入口は、予算の大小だけでは決まりません。テレビCMのように体制を組んで回すか、SNS運用のように手元で回すか、この見極めが先に来ます。
小規模でも回しやすい施策
ASOは、ストアの説明文やスクリーンショットを調整して、検索からの流入を伸ばす打ち手です。担当が自社にいれば、外注せずに改善を回せます。SNS運用も内製向きで、日々の投稿や反応の拾い方を手元で変えられ、動かした結果がその日のうちに数字で返ってきます。
事前登録は、配信前に見込みユーザーを集める施策です。登録数という分かりやすい目安を追いながら進められます。
こうして並べると、この三つは着手のハードルが低く、動かした効果を指標で確かめやすい点で重なります。
内製か外注かの判断
内製と外注、どちらを選ぶべきでしょうか。分かれ目は、コストよりも、ゲームを理解した人が制作や運用に関われるかにあります。
外注で多いのは、担当者のゲーム理解度が浅く、広告クリエイティブの質が上がらないという悩みです。加えて、動画や静止画の納品が遅れると、その間は改善の手が打てません。一方で、専門の制作会社に頼めば、社内では持てない撮影・編集の設備や経験値を借りられ、短期間で一定水準の素材をそろえられる利点もあります。
ただし、内製なら、素材の差し替えを自分たちのペースで進められ、ゲームの中身を知る担当が関わるほど訴求のずれも起きにくくなる一方で、担当者の力量やその時々の手の空き具合に品質と速度が左右されやすい面は否めません。外注か内製かは、社内にゲームを語れる人がいるか、そして案件に合う制作会社を見極められるかで決まります。
そのため内製に振り切る場合は、担当者の定着も課題になるでしょう。開発・運用の現場でどんな働き方の悩みが語られやすいかを知っておくと、採用後のミスマッチを減らせます。
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よくある質問
ゲームプロモーションは予算がいくらから始められますか
社外への発注をともなわない範囲であれば、数万円程度の広告出稿から着手できます。ストアの説明文やスクリーンショットの調整、SNSでの日々の投稿は追加のツール費用がほとんどかからず、まとまった予算を確保する前に取り組めます。
小規模・インディのゲームでも効果が出る手法はありますか
はい、担当者が自社で完結できる施策ほど、小規模チームでも成果を出しやすい手法です。配信面の広告のように出稿費を毎月払い続ける手法よりも、ストアの見え方や登録ページの整備といった、手元で調整できる打ち手のほうが取り組みやすいです。
プロモーション施策の効果はどの指標で判断すればいいですか
見るべき数字は、施策のねらいによって変わります。認知を広げる段階では届いた人数や再生回数を追い、ダウンロードや課金につなげる段階に入ってから、費用対効果を示す指標に切り替えるのが基本の流れです。
プロモーションは社内でやるべきか外注すべきかどちらがいいですか
プロモーションを内製するか外注するかの判断軸は、コストではなく、ゲームの中身を理解した担当が制作や運用に関われるかにあります。社内にその担当がいなければ、まずは業界の採用動向に詳しいエージェントに相談し、人材面から体制を整える選択肢もあります。
プレスリリースやSNSの小出し告知は今も効果がありますか
プレスリリースやSNSでの小出し告知は、単発の広告出稿とは違う役割を持ち続けています。一度に大きく話題化する力は弱くても、ファンとの接点を絶やさずに保てる点で、他の施策と並行して続ける価値があります。
まとめ
ゲームプロモーションで使える打ち手は多くあります。ASOやプレイアブル広告、事前登録、動画、SNSでの告知まで幅は広いです。数をそろえても成果には直結しません。効果を指標で測り、動いた施策に予算を寄せる、この回し方が結果を分けます。
大規模な出稿ありきの打ち手を丸写ししても、中小規模の開発には合いません。予算と体制から逆算し、自社で回せる施策を絞り込みます。個人開発や副業では、プロモーションが制作の工数まで圧迫しがちです。
手を広げるほど本編が進まず、続けること自体が難しくなります。抱える打ち手を減らす判断も、成果に近づきます。
順番も大切です。ダウンロード先やウィッシュリストの登録先を用意する前にSNSへ書いても、反応は拾えません。インディーゲームで勝ちパターンが固まっているのは、今のところSteamだけです。
全部をやり切る必要はありません。測って、絞って、回せる範囲で続ける取り組みが、ダウンロードや課金に届きます。