テレビ局の年収ランキングと平均年収のからくり 職種・局種別に解説
テレビ局の年収として検索結果に出てくる1,300〜1,600万円は、放送局ではなく持株会社の全社平均です。管理部門や出向者を含む数字で、現場の社員が手にする額とは重なりません。
フジ・メディアHDの1,660万円が業界最高水準ですが、職種が変わると400〜600万円台まで下がります。放送技術者の統計には外注スタッフが混在し、局員の実態を映していません。
職種別・局種別の実額を順に示します。志望する職種と局でいくらになりそうかを、読み終えた後に自分で試算できます。転職エージェントへの相談前に確かめてみてください。
この記事の内容
テレビ局の平均年収ランキング
フジ・メディアHDの平均年収は1660万円で、上場するテレビ系企業のなかでも最高水準にあります。
キー局・主要局の年収ランキング
平均年収はフジ・メディアHD1660万円を筆頭に、日本テレビHD1390万円、テレビ朝日HD1373万円、テレビ東京HD1364万円と続きます。これにスカパーJSAT HD1274万円、中部日本放送1269万円、TBS HD1264万円、RKB毎日HD1198万円、朝日放送グループHD1158万円、WOWOW1058万円が連なり、公共放送のNHKは685万円です。
上位を占めるフジ・メディアHD、日本テレビHD、テレビ朝日HD、テレビ東京HDは、いずれも放送局そのものではなく、放送局を傘下に束ねる認定放送持株会社にあたります。
ただ、この順位を読むには前提が一つあります。従業員数は局によって数十人から数千人まで幅があるという点です。たとえばテレビ東京HDは有価証券報告書上の従業員数が三桁以下にとどまるのに対し、TBS HDは数千人規模で、母集団の構成がまったく違います。社員数の少ない持株会社ほど、一人あたりの平均は高く出やすくなります。
実際、同じ1300万円台でも、規模の違う会社の平均を横に並べた数字です。順位の数字は、こうした会社規模の差を無視して横並びにした値です。
地方局の年収ランキング
地方局でも、最高水準は札幌テレビ放送の1046万円です。続いて北日本放送878万円、四国放送858万円、信越放送857万円、長崎放送804万円、青森放送788万円、新潟放送776万円、北陸放送719万円、秋田放送708万円、岩手放送669万円。キー局の1000万円台後半とは開きがあるものの、地元では最も給料が高い企業であることが多く、地域の主要企業と比べても上位に並ぶ水準です。
もっとも、ひとくちに地方局といっても水準には幅があります。札幌テレビの1046万円とキー局最高のフジ・メディアHD1660万円とは600万円以上の差があり、地方局の内側でも1000万円台に届く局から600万円台にとどまる局まで分かれています。
職種で年収はどう違うか
厚労省jobtagで職種別に拾うと、アナウンサーは約583万円、放送ディレクターは約544万円、テレビカメラマンは約492万円。各社平均で並ぶ1,000万円台の数字とは、数百万円単位でかけ離れています。見出しに出る平均は会社全体をならした数字で、実際に番組を作る職種の手取りはそこから何段も下がります。
アナウンサーの年収
アナウンサーの平均年収は約583万円。これは厚労省jobtagが全国のアナウンサーをならした数字で、キー局も地方局も、ベテランも若手も混ざっています。ところが日本テレビ1社に絞った推定では、アナウンサーで800〜1,100万円という幅が出てきます。同じ職種名でも、所属する局の規模で年収帯がまるごと入れ替わります。
アナウンサーの給与は基本給が安めに抑えられ、賞与の比率が大きいのが特徴です。だから人気番組を持つかどうか、レギュラーが続くかどうかで、年ごとの実額が大きく揺れます。職種の中でも年収の振れ幅が大きいのがこの職です。
記者・ディレクターの年収
番組を回す現場の職種は、統計だと意外なほど低く出ます。放送ディレクターの平均年収は約544万円、番組ディレクターに絞ると平均433万円・平均時給1,748円。会社全体の平均が1,000万円台で並ぶのに対し、現場の職種は統計だと500万円前後にとどまります。
一方で、日本テレビ1社の推定ではディレクターは740〜1,460万円。統計の数百万円台と局単位の推定で、上限が3倍近く開きます。同じディレクターでも、キー局の正社員か制作会社の所属かで年収帯が動くため、平均値だけ見ても自分が入る帯はわかりません。
技術職の年収
放送技術者の全国平均年収は約583万円。日本全体の平均478万円より100万円ほど高く、数字だけ見れば恵まれた職種に映ります。ところが地域別に見ると、東京669.4万円に対して福岡472.7万円と200万円近い開きがあり、この格差の背景には雇用主の違いがあります。
ただし、この583万円という数字には外注の制作会社スタッフが大量に含まれています。局に正社員として在籍する技術者と、局を安く請け負う外注側とでは、同じ現場に立っていても年収帯は二重構造です。
局員の技術者なら年収は高水準に届き、外注スタッフなら統計平均かそれ以下に留まります。同じ技術職という看板でも、入るのが局か外注の制作会社かで手にする額は半分ほどの開きです。約583万円という平均は、その落差をならして消した数字でした。
営業の年収
CM営業や広告営業は、テレビ局の正社員側に置かれる職種です。番組制作の現場とは違い、放送事業の売上を直接動かす部署にあたります。
給与の組み立ては現場職種と同じではありません。基本給に積み上がる賞与の比率が高く、大手局では賞与原資が大きい分、正社員営業の実額は現場職種の統計平均より上の水準で動く傾向があります。
キー局以外で年収はどう変わるか
テレビ局の高い平均年収は、キー局という枠の内側で成り立っています。地方局に目を移し、さらに番組制作会社まで含めると、同じテレビの仕事でも年収帯はそのままスライドして下がります。地方局はキー局の番組を流してネットワーク分担金を受け取り、番組制作の現場は局とは別会社が請け負う形です。
キー局と地方局の年収差
キー局の1,300万〜1,600万円台に対し、地方局は上位局でも数百万円下、最大ではフジ・メディアHDと600万円超の開きになります。地方局の内側でも、ランキングで見たように1,000万円台から600万円台まで幅があります。
地方局がこの水準を維持できるのは、キー局が制作した番組を放送する代わりにネットワーク分担金を受け取り、番組を自前でつくらなくても収益の柱を確保できるからです。加えて、地域の主要企業が地元テレビ局に広告を集中させるため、エリア内での広告収入は競合が少ない状態が続いています。
局員と制作会社スタッフの違い
番組制作会社は、テレビ局とは別の会社です。テレビ局が番組制作を安く外注する相手であり、局の社員ではありません。就活でテレビ局を調べると制作会社の求人が混ざって出てくるのも、両者が別組織だと知らなければ見分けがつかないからです。
局員として採用されるか制作会社側に入るかは、年収帯がまるごと変わる分岐です。地方局からキー局まで、局の正社員ならその局の賃金テーブルに乗ります。制作会社に入ると、局からの請負単価で動くため、どれだけ現場を経験しても局員の給与水準には届かない帯に収まります。
年収が高いのに基本給は低いからくり
局員側に入った場合でも、額面が高いのに内訳を見ると基本給が意外に低い。準キー局4年目社員の源泉徴収票を手がかりに、この年収がどんな積み木で成り立っているのかを分解します。
現場社員の実額
準キー局の現場社員が4年目で受け取る源泉徴収票は、約880万円の水準です。
ただし入社時の出発点は、世間の初任給とそう変わりません。厚労省の令和6年賃金構造基本統計調査では、新規学卒者の所定内給与額は大卒で24万8300円です。テレビ局も初任給から始まり、年功で上がっていく形が中心で、その積み重ねが4年目880万という額につながっています。
基本給は低く残業代と賞与で膨らむ
880万という額面を見て、基本給も相応に高いと考えると数字が合いません。前節で触れた4年目の社員も、基本給は月30万円を超えていませんでした。
内訳を分解すると、賞与は1年目の冬の時点ですでに100万円近くつきます。制作や報道の現場では、月の残業が100〜150時間に及ぶ班もあり、その残業代が年収を大きく押し上げます。賞与と残業代、各種手当を差し引いていくと、残るベース給は意外と細いものでした。
参入障壁が支えるCM単価
そもそも、なぜここまでの人件費を払えるのか。土台にあるのは電波の周波数帯の割り当てを基準にした総務省の認可です。テレビ局はこの認可を受けた企業に限られ、新規参入がしづらく、既存の会社による寡占の状態が続いてきました。
新しい競合が入ってこないため、収入源であるCM料は高い水準に保たれてきました。このCM料が、現場社員の残業代や賞与をまかなう原資になっています。加えて大手は売上高に対して社員数が少なく、利益率の高さも高年収につながっています。
この先もテレビ局の年収は高いままか
CM収入に支えられた高い年収が、この先どこまで続くかという問いがあります。実際にCM単価は2018年頃から下落局面に入っており、底を打ったという気配はまだ出ていません。
CM単価下落の影響
ネット広告の成熟を背景にCM単価の下落が続いています。この数年、回復しないままで、制作費がCM収入を上回る番組も出始めています。
そのため、CM収入が高年収を支えている構造は、じわじわと崩れはじめています。収入が削られれば、社員に回る額の上限も下がっていく。元手が縮めば、いまの高い水準が何年続くかは読みにくくなります。
だから入る前に、将来の待遇変化を確認しておくと、後悔を防ぎやすくなります。
▶ テレビ局への就職はやめとけ← 7つの理由と職種別の実態を解説
高年収のうちに入るか
いま入って高年収を取りにいくのか。CM収入の減少を見越して、別の局種や別の業界も視野に入れるのか。テレビ局を志す人が突き当たるのは、この分かれ目です。
もっとも、いま在籍している社員の年収は年功序列で積み上がるため、短期的には大きく崩れません。収益の柱であるCM収入が縮む局面で、将来の年収水準がどこで止まるかは読みにくくなっています。その先を見越して動くかどうかが、入口の選び方を分けます。
そうした選び方の軸として、テレビ業界の中でどの転職先が自分に合うかは、転職先タイプ別に比較した記事が参考になります。
▶ 【2026年版】テレビ業界に強い転職エージェントおすすめ8選!転職先タイプ別の選び方も解説
テレビ局の年収に関するよくある質問
テレビ局でホワイトに働けて年収も高い会社は
労働環境と年収を両立できる局という条件で探すと、候補は自ずと絞られます。
実際に、地上波キー局では長時間労働が現場の常態化しているため、衛星放送局や持株会社の管理部門を中心に求人を確認したほうが実態に近い情報が得られます。
テレビ局の入社難易度はどれくらいか
採用倍率は公表されていないものの、キー局の総合職採用はESの通過率から数百倍規模に達するとされています。
技術職やデジタル専門職は総合職より競争率が低い傾向があり、専門スキルを持つ層にとっては総合職より狙いやすい間口です。
中途・第二新卒でも高年収は狙えるか
既存社員の年功賃金が高いため、中途入社でも同年次水準からスタートできる局が多く、高年収自体は狙えます。
中途採用枠は新卒よりも少なく、実務経験の裏づけも求められるため、どの職種・どの局種で応募するかが結果を分ける条件になります。
マスコミ業界の中でテレビ局の年収は高い方か
テレビ局は新聞社・出版社・ラジオ局と比べると平均水準は高く、マスコミ内で上位に位置します。
ただし新聞社の記者職や出版社の編集職との比較では、会社規模や職種によって逆転するケースもあるため、テレビ局全体が高いというより大手テレビ局の正社員が高いと読むほうが実態に近いです。
まとめ
テレビ局の年収は、見出しに出る平均値だけでは測れません。フジ・メディアHDの1660万円は持株会社の全社平均で、番組を作る現場社員が手にする額とは重なりません。職種で拾えばアナウンサーは約583万円、放送ディレクターは約544万円と数百万円下がり、キー局から地方局や制作会社へ移れば帯はさらにスライドします。
高い年収を作っているのは、基本給そのものではありません。準キー局で源泉880万に届いた4年目でも、基本給は月30万円に届かず、賞与と残業代が額面を押し上げていました。
その原資は、電波の参入障壁が支えてきたCM単価です。そのCM単価が2018年から下がり続けています。
どの局のどの職種で、いつ入るか。この三つで手にする額は大きく動きます。志望する局種と職種に数字を当てて、自分の年収の目安を持ったうえで、転職エージェントへの相談や求人確認に進んでみてください。