テレビ局への就職はやめとけ← 7つの理由と職種別の実態を解説
テレビ局を志望していてやめとけと言われ、何が本当に問題なのか調べている段階だと思います。
キー局の平均年収は1,358〜1,580万円です。それでもやめとけと言われるのは、その年収と引き換えに来るものが外からは見えにくく、入社後数年で初めて直面するものが多いからです。広告収入の構造的な減少・月84時間超の残業・縦社会の文化は、局や部署によって度合いが違います。
どれが自分には無理かを確認してから、就職するか判断してください。
この記事の内容
テレビ局への就職がやめとけと言われる理由
やめとけと断言する人もいれば、行けるなら行くべきだという人もいます。
どちらの言葉も、テレビ局の一面だけで語られています。
テレビ離れが進み広告収入が構造的に下がっている
電通の調査で、2019年にネット広告費がテレビを逆転しました。
2023年の媒体費ベースでは、ネットはテレビの約2倍まで差が開いています。
テレビ局の収入源はスポンサーからのCM費用が中心です。
視聴率が下がればスポンサーが離れ、番組予算が削られる流れは変わっていません。
2025年のフジテレビの不祥事後、スポンサーが大量撤退してACジャパンへの差し替えが相次ぎました。
CMがACジャパン一色になると、局の広告収入は事実上止まります。
一つの問題で収益が一気に崩れます。
番組制作の締め切りが法律では消えないため長時間になりやすい
ADの平均残業は月84.16時間です。
編集所では収録前日の朝10時から翌日朝10時まで、24時間稼働します。
改編期は3番組同時進行になり、ADが弁当発注・ロケハン・テロップ挿入を並行処理します。
どれかが遅れると他が詰まるため、深夜に複数の作業を抱えた状態が続きます。
放送日は動かせません。
締め切りが絶対的に固定されている仕事では、残業削減の原則論が現場でそのまま通じないことがあります。
先輩が帰るまで帰れない縦社会が今も残っている
自分の作業が終わっても、先輩ディレクターが編集中なら待機します。
この暗黙の慣行は制作部門に広く残っています。
3年間後輩ゼロでコピー・お茶汲み・部旅行手配を全部ひとりで担った経験は、テレビ局の若手に広く共有される話です。
週5宴席と毎週末ゴルフ接待が義務だった時代の証言も多数あります。
ただし、局や部署によって状況は大きく変わります。
同じ局でも、制作部門と営業部門では職場文化がまるで違う話になることがあります。
「テレビに出られる」という入社前のイメージが早期に崩れる
制作スタッフが画面に映ることはありません。
カメラの前に立つのはアナウンサーと出演者だけです。
AD初日はガムテープの切り方を怒られるところから始まります。
弁当発注と機材搬出入が仕事の中心で、視聴者が見ている番組の華やかさとは別の毎日が続きます。
入社後のギャップが早ければ数週間で出ます。
このイメージの落差が、若手の早期離職を後押しすることがあります。
キー局の新卒採用倍率は数百倍で就活の難易度が別格
キー局の総合職は年間20名前後の採用枠に、数千から数万単位の応募が集まります。
倍率にして300〜500倍です。
フジテレビの平均年収は1580万円、テレ東でも1522万円です。
この給与水準が応募者を集中させており、書類選考の段階から相当数が振り落とされます。
放送系サークル・映像制作実績・業界インターン経験が書類選考で効きます。
とはいえ、それらを揃えても通過する保証はありません。
倍率300〜500倍は、準備が完璧でも運に左右される領域です。
放送産業のビジネスモデルが行き詰まっている
TVerの年間売上は50億円規模です。
キー局1局の売上は5000億円を超えます。
テレビ局がネット動画に軸足を移そうとしても、収益規模の差が100倍以上あります。
ネット転換で広告収入の減少を補うには、収益規模の差が大きすぎます。
ローカル局はこの問題がさらに深刻で、赤字転落している局も出ています。
テレビ局で数年働いた元局員が記す退職理由のひとつに、ビジネスの限界を感じたことが出てきます。
入社前には見えにくく、数年働いてから実感として届く問題です。
4年で辞める若手が増えている
元局員が記した退職理由で目を引くのは、労働環境でも人間関係でもなかったという点です。
仕事内容・人間関係・ワークライフバランス・給与はどれも最高だったと前置きした上で、10年20年これを維持していくことの困難性を感じたと続けた事例があります。
待遇への不満ではなく、この仕事を20年続けることへの疑問が退職の理由でした。
テレビ局で働くメリット
若いうちから高収入を得られる
有価証券報告書でフジテレビの平均年収は1580万円です。テレ東1522万円、テレ朝1473万円、TBS1459万円、日テレ1358万円と続きます。ただしこれはいずれも平均年齢40代後半の数字で、入社後すぐに届くものではありません。
20代後半に絞った口コミ推計では、700〜800万円台という数字が出ます。25〜29歳の全産業平均は約370万円です。テレビ局の20代後半は、その約2倍の水準にあります。
全産業平均との差は、20代後半の段階でもう開いています。
社会への影響力を持てる
プライム帯で同時に数百万人が同じ映像を見ています。
担当したバラエティ企画が年間流行語になった実例は複数あります。自分が手がけた企画から、翌年の国語教科書に載る言葉が生まれることがあります。映像や番組という単位ではなく、社会で使われる言葉を動かした実感です。
もっとも、これが起きるのは一部の担当者に限られます。放送に関わる人間は多く、その多くは自分の影響を直接感じにくい位置で動いています。
スキルと人脈が転職後も活きる
企画→取材→撮影→編集の一気通貫経験を積める職種は他業種に少ないです。
番組制作の場では、政治家・経営者との取材接点が生まれます。その接点は、テレビ局を離れた後も個人の人脈として残ります。コンテンツマーケティング会社や映像プロダクションに移った元局員が、過去の取材先から声がかかる話は、局を出た後の業界でそれなりに聞きます。
取材から編集まで一貫して担当した経験は、転職市場でポートフォリオとして使えます。
作品が形に残る達成感がある
エンドクレジットに自分の名前が入ります。
半年かけて取材した番組が放送される日があります。番組が終わっても、録画やアーカイブとして残り続けます。デジタル広告や社内資料と違い、放送番組は特定の放送日と結びついた形で記録されます。10年後に自分で確認できるものが手元に残る仕事です。
テレビ局に向いている人
視聴率が出た翌朝に切り替えられる
ビデオリサーチから翌朝局内共有される視聴率は、担当回が1桁だと週明け会議の空気が変わります。
同日午後に次の企画書を持っていく文化があります。
翌週企画で取り返せるかが評価軸になっています。
前の数字を引きずって提出が遅れると、その間に別の案が通ります。数字が出た翌朝に次へ動けることが、局内での動きの速さとして直接出ます。
編集所に14時間籠れる
収録前日は編集所に14時間います。
テロップ挿入・モザイク処理・動画加工を延々続けます。
改編前後はこれが連日続きます。
14時間を1日こなせることと、それが連続することは別の体力です。集中できる環境があれば長時間は問題ないという人でも、連日になると事情が変わります。
生放送中に15秒で動ける
CM明け15秒前にゲストが予定外の発言をした場合、ADがカンペを書き直してアナウンサーに届ける判断を即座に求められます。
スタジオの流れを頭に入れていないと、15秒では間に合いません。
生放送は巻き戻せません。判断が1秒遅れると、届いたときにはもう次の展開に移っています。
瞬間的な状況判断が合う人とそうでない人に、実際に入ってはっきり分かれます。
毎週同じ枠でも前週と違う企画を出せる
レギュラー番組は毎週同一の放送枠で、前週と違う企画を出し続けます。
改編期まで52週分の企画を出し続けた実績が評価に出ます。
50回以上同じ枠に企画を出し続けると、ネタ切れになる時期が来ます。
競合番組の動向を読みながら前週と違う切り口を毎週用意する作業は、創造性より継続性の問われ方をします。ゼロから発想するより、過去の企画と競合の動きを組み合わせて次を作る感覚です。
テレビ局に向いていない人
改編期に生活リズムをリセットできない
報道からバラエティへの異動で、起床時間が深夜3時台から昼11時台に変わった事例があります。
放送は24時間止まらないので、シフトが変わるたびに生活が変わります。「慣れれば大丈夫」という話は、担当が一度の異動で完結する人には当てはまりません。報道・バラエティ・スポーツで求められる時間帯が違うため、部署を移るたびに起床時間がまた変わります。
1週間で慣れる人もいれば、1か月経っても睡眠が安定しない人もいます。どちらになるかは入ってみないとわかりません。改編期を複数回経験してはじめて、自分が生活時間の変動に耐えられるかどうかの見当がつきます。
毎週の視聴率に消耗する
視聴率は翌朝共有されます。
低迷が3〜4週続くと、打ち切りを検討する会議が始まります。翌週から別番組へ移行する場合もあります。この結果が共有されるサイクルが毎週来るため、週単位で受け止め続けることになります。
ひとつの番組が打ち切りになっても、スタッフは次の番組に移ります。担当が変わっても翌週には次の数字が待っています。視聴率の低迷を引きずらずに次の企画に切り替えられるかどうかが、テレビ局で長く働く上では問われ続けます。
先輩が帰るまで帰れない文化が合わない
自分の番組担当が終わっても、上に確認を取らずに退社できない空気が残るケースがあります。
制作部門を離れて別部署に移ると縦社会の強さが変わる局もありますが、制作・報道の現場では作業の終わり方が自分だけでは決められない状況が続きます。業務量への適応はできても、この働き方の構造が合わずに離職する人が出ます。
仕事の拘束時間より、誰かの退社待ちで延びる時間の方が折り合えないと感じた時点で、局を出る選択をする人もいます。映像業界全般でこの傾向が強い実態は、映像業界がやめとけと言われる理由でも詳しく取り上げています。
テレビ局の職種と仕事内容
局内の正社員職種は、ディレクター・AD・プロデューサー・アナウンサー・技術職・営業・事務に分かれます。
ディレクター・AD
現場でのADの実務は、カメラの位置確認・照明の電源管理・機材搬出入の段取りが中心です。ガムテープの切り方や弁当の発注手順といった雑務から覚えていく形で始まります。制作現場で最も下位に置かれるADが、局の外注先である制作会社に所属するケースも多く、直接局員でないまま現場に立つ形もあります。
ディレクター昇格は早い人で入社3年、平均5年前後です。昇格後は番組の演出から予算管理まで、制作上のあらゆる判断を自分で下す立場になります。
制作進行の最前線にいるため、深夜・早朝の撮影も日常的に入ります。
プロデューサー
番組の最終責任者であるプロデューサーは、予算管理・スポンサー対応・出演者交渉を並行してこなします。撮影現場にいるより、会議室や電話での調整に時間を割く比重が高い職種です。
局内でのキャリアアップだけでなく、制作会社でのキャリアを経てプロデューサーになる場合も多く、必ずしも局員の道から一本道でたどり着くポジションではありません。
もっとも、局の正社員プロデューサーと制作会社のプロデューサーでは、裁量や報酬の水準がかなり異なります。
アナウンサー
主要局のアナウンサー採用は倍率1000倍超が続いています。採用枠そのものが局ごとに数名単位のため、狭き門という言葉がそのまま当てはまるポジションです。
スポーツ・報道・バラエティでは、それぞれ求められるものが違います。報道では正確な情報読みと冷静さ、バラエティでは即興性や空気を読む速さ、スポーツでは試合展開を追いながら話し続ける持久力です。地方局から主要局へ移籍するルートもありますが、全員が辿れる道ではありません。
技術職(カメラマン・音声・照明)
収録中のカメラマンは、画角と光量を常時判断しながら撮影を続けます。MAまで受け持つケースもあり、撮影が終わった後も映像と音の整合作業に携わります。
照明や音声も同様で、収録ごとに機材と環境が変わる中、毎回のセッティングから本番まで対応します。
フリー独立後も特定局の仕事を継続受注できる点は、技術職に特有の働き方です。局側も使い慣れた技術者を繰り返し指名するため、雇用関係なしに同じ局の現場へ入り続けるフリーの技術者もいます。
営業職・事務職
局の営業職はスポンサー向けCM枠の販売が主な業務です。広告代理店との折衝が多く、番組の制作側ではなく、番組を「売る」側に位置します。
事務職は、局によっては総合職と別区分で採用しています。総合職のような異動・昇格の幅はない代わりに、特定部門での専門的な業務を継続する形になります。制作や技術の補助業務に入る場合もあり、局内での役割は多岐にわたります。
キー局・地方局・制作会社の年収
「テレビ業界」という括りの中でも、キー局・地方局・制作会社では年収が数百万円単位で異なります。
キー局
各局の有価証券報告書によると、フジテレビは平均年収1,580万円、テレビ東京1,522万円、テレビ朝日1,473万円、TBS1,459万円、日本テレビ1,358万円という水準です。5局の平均は1,500万円前後で、国内の全業種を見渡してもトップクラスに位置します。住宅補助・退職金も厚く、給与面ではこの水準が続きます。
改編期は月80〜100時間の残業が発生する部署もあり、年収と負荷はセットです。報道・バラエティ・制作など担当部署によって拘束時間の差は大きく、同じキー局内でも職種によって働き方は大きく異なります。
地方局
求人レンジと口コミ集計を合わせると、地方局の年収は600〜900万円帯が多い水準です。在京キー局と比べると年収差は500〜700万円程度になるケースも珍しくなく、同じ「テレビ局員」でも所属局によって手取りの水準は大きく異なります。
1人で撮影・編集・取材をこなすケースがあるのも地方局の特徴で、キー局では分業されている業務が少人数に集中します。人口減少が進むエリアでは赤字転落の局も出ており、給与水準と組織の財務状況は就職前に確認しておく価値があります。
番組制作会社
制作会社のディレクターは4〜5年目で550〜700万円が中心の帯域です。対してキー局の同年次は1,200〜1,500万円水準に達しており、同じ4〜5年目でも500万円以上の差が生じる計算になります。
下請け構造で制作費圧縮が続く環境のため、実績を積んでも年収差は縮まりにくい面があります。もっとも、制作会社での実績がキー局への中途採用ルートになるケースもあり、年収より現場での経験値を先に積む選択として制作会社を入り口にする人もいます。
番組制作会社がやめとけと言われる理由と現場の実態も参照してください。
テレビ局に就職・転職するには?
中途でテレビ局を目指す場合、ルートは制作会社経由とエージェント活用の2つに分かれます。
制作会社で経験を積む
キー局の中途採用者の多くは制作会社出身です。
視聴率が上がった回のディレクターとして名前があることが書類選考で効くのは、数字に紐づいた実績として提示しやすいためです。
制作会社の年収は300〜500万台が中心ですが、中途ルートとして実績を積める環境としては十分に機能しています。
面接で問われるのは担当番組の名前より、その期間に視聴率がどう動いたかです。
転職エージェントを活用する
マスコミ・エンタメ特化エージェントは非公開求人を扱うことが多く、テレビ局の中途採用情報が集まりやすい特性があります。
総合型エージェントに比べると求人数は少ないですが、業界に詳しいアドバイザーが付くため、テレビ局特有の採用基準や職種ごとの状況を踏まえた相談ができます。
放送業界の中途採用は公募より非公開で動くことが多く、エージェントに登録しておくと情報を受け取れるタイミングが早まります。
テレビ業界に強い転職エージェントの比較と選び方で各社の特徴を確認してから登録するエージェントを絞ると効率が上がります。
テレビ局就職のよくある質問
テレビ局の労働環境は改善されていますか?
2019年以降、働き方改革の関連法による残業上限管理が強化されました。
ただし、放送日という絶対的な締め切りが動かない状況は変わっていません。ADの平均残業が月84時間を超えているというデータは、制度が変わった後も現場に残っている数字です。
改編期の集中負荷が消えたわけではなく、改善の度合いは部署と担当番組によって大きく異なります。
地方局とキー局、どちらを目指すべきですか?
目指せるかどうかは倍率の話で、好みで選べる状況にある人は少数です。
キー局は倍率300〜500倍、年収は1,358〜1,580万円です。地方局は600〜900万円台が多く、1人で企画・撮影・編集を全部こなすケースがあります。
業務の幅という点では地方局の方が広く、早い段階から一連の制作工程を経験できます。倍率が低い方から受けるのが、業界に入るための多数派の順序です。
テレビ局の中途採用は未経験でも受けられますか?
職種によります。制作職は未経験からの採用が難しく、経験者採用が中心です。
営業・事務については異業種からの転職実績があります。キー局の中途制作職は制作会社での実績が書類選考の段階で問われます。スポンサー折衝や管理業務の非制作系職種は、業界外からの応募が通るルートです。
テレビ局を辞めた人はどこに転職していますか?
広告代理店・PR会社・動画配信・Webメディアへの転職が多いです。
番組制作で政治家・経営者と接点を持った経験が、PR職への転換で使われるケースがあります。企画から撮影・編集まで担当した人がコンテンツマーケティング会社に移り、過去の取材先から声がかかる例も業界内では聞きます。
転職先の探し方はマスコミ業界に強い転職エージェントの比較で、局・新聞社の選考に強いエージェントを局種別に比較しています。
テレビ局の就職に有利な大学や学部はありますか?
キー局の採用は全国・海外大学を含む幅広い出身校から選んでいます。必須学部を設けていない局が多く、法学・経済・理工系のOBが多い傾向はありますが、それが採用条件というわけではありません。
倍率300〜500倍の選考では、学歴より放送系サークルの実績や映像制作の経験の方が書類段階で効く話が出てきます。学部より在学中に何をしたかが、書類通過の可否に出ます。
まとめ
テレビ局へのやめとけ判断は、一律には出せません。
広告収入の減少とビジネスモデルの限界は業界全体の話です。縦社会や長時間労働は局と部署で差があります。年収の高さは入社後数年を経て届く水準で、20代前半に手に入るものではありません。
自分が無理だと感じる部分と、許容できる部分を照合してから、制作会社での経験積みかエージェント登録かの一手を決めてください。