スポーツメーカーの年収は本当に高い?企業別・年代別の実額を解説
スポーツメーカーへの応募を検討していると、企業ごとに出てくる年収の数字がばらばらで、結局どこが高いのか、自分がもらえる額はいくらなのか掴みきれません。
平均年収はアシックス1,079万円、ミズノ699万円と、同じ業界でも300万円以上開きます。差を生むのはブランド力ではなく、市場規模と利益率という業界構造の中での位置取りです。
本文では企業別・年代別・職種別の実額と、その水準を決める市場構造まで確認できます。数字の高さに飛びつく前に、自分が狙う職種で実際にいくら受け取れるのかを確かめてから応募を判断してください。
この記事の内容
スポーツメーカーの企業別平均年収ランキング
国税庁の調査による全産業平均は460万円で、スポーツメーカー各社の平均年収はこれを上回ります。ただし同じ社名でも、年度が変われば出てくる数字は動き、出所によっても差が出ます。どの会社を選ぶかで、受け取る額は大きく変わってきます。
アシックス
アシックスの平均年収は1,079万円です(2025年12月期有価証券報告書)。ひとつ前の2025年3月期は998万円でした。決算期の切り替えをはさんで、一年で80万円ほど上振れした計算になります。
平均年齢は40.4歳、平均勤続は12.2年と、40代に入る手前の層で回っています。この年齢帯で平均年収がこれほどの水準に届く会社は、スポーツメーカーでは多くありません。
しかも売上のおよそ8割をシューズが占めます。ランニングシューズが世界的に伸び、その販売がそのまま業績に乗りました。平均年収の高さは、この稼ぎ頭の強さと切り離して読めません。
デサント
同じ会社を長く見ても、水準はアシックスに届きません。デサントの平均年収は731万円で、前年の2023年度726万円からの動きは5万円ほどにとどまりました(2024年度有価証券報告書)。平均年齢は43.9歳、平均勤続は15.3年です。
年齢も勤続もアシックスより上のほうにあります。それでも平均年収は300万円以上低いままです。長く勤めた社員が多くても、たどり着く水準は会社ごとにはっきり分かれます。
ゴールドウイン
ゴールドウインは、この二年で平均年収を100万円近く伸ばしました。2023年度の617万円から、直近は714万円まで上がっています(2025年有価証券報告書)。従業員は1,236名、平均年齢は44.8歳、平均勤続は16.4年にのぼります。
勤続16年を超える社員が中心で、短期で人が入れ替わる会社ではありません。一方、デサントとの差は平均年収でごくわずかで、この二社はほぼ同じ帯に並びます。伸びしろは、その年の業績によって動きます。
ミズノ
国内売上で業界最大手はミズノです。国内事業の規模で見るとアシックスを上回りながら、平均年収は699万円にとどまります(2025年3月期有価証券報告書)。従業員は3,649名と4社で最も多く、平均年齢は43.0歳、平均勤続は18.0年におよびます。
勤続年数は今回の4社で最も長く、長く働く人が平均を押し上げてもおかしくありません。それでも最上位のアシックスとは300万円以上の開きが残ります。テニス・ゴルフ・フットサルのスクール事業まで抱える最大手でも、平均年収は売上の順位どおりには並びません。
スポーツメーカーの年収は数字通りにもらえるのか
同業他社と比べれば高水準です。ただし、有価証券報告書に並ぶ平均年収を働く全員がそのまま受け取れるわけではなく、もらえる額は職種と年次で大きく変わってきます。
職種で年収は大きく割れる
同じ会社の中でも、職種によって年収は大きく割れます。OpenWorkの集計だと、営業職の平均が535万円、販売職は386万円と、150万円ほどの差がつきます。年収事例で見ると、店頭に立つ職種は280万〜380万円台、企画・マーケティング職は500万〜650万円台に固まっています。
店頭に立つ人と商品を企画する人とで、手取りの帯そのものが分かれるわけです。口コミの集計では全体平均が501万円で、有価証券報告書に並ぶ各社の平均を大きく下回ります。平均という一つの数字は、この幅をならしたあとの値にすぎません。
新卒は高めでも伸び代が小さい
入社したての給料は、他業界と比べても見劣りしません。むしろ高いほうに入ります。とはいえ、そこから先の上がり方がゆるやかです。役職がつくまでは給与がほぼ一定のまま止まり、年次を重ねても大きくは動きません。
昇級試験を受けなければ、基本の給与はほとんど上がらないままです。数年たてば、スタートで得た余裕も後発の他業界に追い上げられます。
スポーツメーカーで年収はどう上がっていくのか
スポーツ用品メーカーの求人票では、初年度の年収が550万円〜と提示されています。入り口の額と、そこからの伸び方は分けて見ると分かりやすくなります。
入社1年目の年収
初年度で550万円〜という水準は、月額給与にすると295,170円〜にあたります。同じスポーツ用品メーカーでも、フットウェア営業の求人になると想定年収は520万〜600万円と、入り口の提示額には幅があります。
職種別に見ると開きはもっと分かります。たとえば求人票を見ると、ヨネックスの人事職は月額基本給25万〜30万円、ミズノのシューズデザイナー職は20万〜40万円でした。営業系が年収ベースで高めに出るのに対し、管理部門やデザイン職は月給で示され、下限が20万円台に置かれることもあります。1年目の額面は、まず入る職種で分かれます。
昇進後の年収の伸び
入り口の額が決まったあと、年収を押し上げる最大の要因は昇進です。役職がつくかどうかで、その後の伸び方がはっきり分かれます。
一般社員のままなら、昇給は毎年の定期分に留まり、額面は早い段階で頭打ちになりがちです。一方、係長・課長と役職が上がれば役職手当が乗り、年収の差がはっきり開いていきます。スポーツ用品メーカーは会社の利益率がそれほど高くないため、役職に就いても大手総合メーカーのような跳ね方までは届きにくいのが実際のところです。昇進で伸びる幅にも、業界なりの天井があります。
スポーツメーカーの年収が決まる理由
国内のスポーツ用品市場は2兆3,130億円ほどです。食品業界が100兆円を超えることを思えば、扱う金額の桁がそもそも違います。この市場の大きさと利益率が、給与水準にどこまで効いてくるのかを、実際の数字で確かめます。
市場規模が給与の天井を作る
矢野経済研究所の調べによる2024年の国内スポーツ用品市場は、動かすお金が年に2兆円あまりにとどまります。シューズもアパレルも用具も、すべてこの範囲の中で売り買いされている商いです。
会社が社員に配れる原資は、最終的に業界全体が稼ぐ額の内側からしか出てきません。だからこそ、いくら人気のあるメーカーでも、給与の上限は業界の大きさに引っ張られます。
利益率の低さ
市場の大きさに加えて、稼いだお金がそのまま給与に回りにくいという事情もあります。スポーツ用品は利益率があまり高くないうえ、ブランドを保つための広告費も、新しいシューズや素材を生むための研究開発費も、絶えず出ていきます。売上が立っても、手元に残る割合は薄くなりがちです。
来期にどれだけ売れるかは読みにくい商売でもあります。給料を上げれば固定の人件費が増え、販管費がふくらんで利益を圧迫しかねません。景気やヒット商品次第で振れる売上を前に、会社は基本給を大きく引き上げるのをためらいます。
ブランド人気で応募者が集まる
スポーツメーカーはブランドの人気が高く、給与の条件がそれほど良くなくても応募が途切れません。憧れの社名で働きたい人が多ければ、会社は無理に給料を積んで人を集める必要が薄れます。企画や商品開発といった人気の職種になると倍率はさらに上がり、待遇はいっそう上がりにくくなります。
スポーツやアウトドアを日ごろから楽しむ人が集まりやすいのも、この業界の色です。給与の高さより商品や競技への関心から応募する層も一定数を占めます。採る側から見れば、条件を上げなくても欲しい人材が来る状態が続きます。
まとめ
同じスポーツメーカーでも、企業ごとの平均年収には数百万円の開きがあります。この差を生んでいるのは企業のブランド力ではなく、市場規模と利益率という業界の枠組みです。国内スポーツ用品市場は他の製造業に比べて小さく、給与に回せる原資そのものに天井があります。
有価証券報告書に載る平均年収は、社員全員が受け取れる額ではありません。同じ職場でも営業職と販売職では150万円ほどの差がつき、店頭に立つ職種の手取りは平均に届きません。応募先を決める前に、有報の平均ではなく自分が狙う職種の実額を確かめておくと、入社後に「思っていた額と違う」と後悔せずにすみます。職種別の求人条件は、この後のよくある質問でも確認できます。
スポーツメーカー以外の職種(プロクラブのフロントスタッフ・スポーツインストラクター等)も含めたスポーツ業界全体の年収を知りたい方は、スポーツ業界はやめとけ←本当?年収・職種の実態と向き不向きを解説もあわせてご確認ください。
スポーツメーカーの年収に関するよくある質問
スポーツメーカーで年収1,000万円は目指せますか
目指せますが、総合職として昇進を重ねていくルートが前提になります。
もっとも、本文の企業別平均年収ランキングで示した高い平均は、管理職や総合職を含んだうえでの数字です。先ほど触れたとおり、店頭に立つ販売職の実額は、その水準にはなかなか届きません。
▶ 【2026年版】スポーツ業界に強い転職エージェントおすすめ9社!経験別の選び方を解説
外資系スポーツメーカーは国内より稼げますか
稼げる場合もありますが、外資系は公開データが乏しく、国内メーカーほど正確な比較はできません。
ナイキやアディダスといった外資系は有価証券報告書のような開示資料が国内メーカーほど手に入らず、出回る参考値も回答者の役職によって大きく振れます。
職種によって年収はどれくらい違いますか
同じ会社に入っても、職種によって年収は大きく変わってきます。
営業職と販売職、企画・マーケティング職では、受け取る額の帯そのものが違います。職種ごとの差額は本文「職種で年収は大きく割れる」を参照してください。入口でどの職種を選ぶかで、その後の年収の帯が大きく変わります。