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【2026年版】私が選んだ注目のエンタメスタートアップ13選

今追いかけたいエンタメスタートアップを13社選びました。選んだ基準は、資金調達の規模、大手企業の関わり方、そして事業の独自性です。

なぜ今これだけ注目を集めるのか、事業のどこが他社と違うのか——その点を独自に調べてまとめています。

この記事の内容

この13社を選んだ理由

まず前提として、今回取り上げるのは基本的に未上場のスタートアップです。GENDAだけは東証グロース上場済みですが、ロールアップM&Aという戦略の面白さで特別枠として加えました。

選定の出発点は資金調達額です。Gaudiyの100億円超を筆頭に、77億円・62億円・50億円と、エンタメ領域でこれだけの資金を集めている会社は限られます。なぜ投資家がそこまで賭けるのか、という問いが、各社の本質に一番早く触れられる入口だと思っています。

ただし、資金の大きさだけで選んだわけではありません。創業から1年も経たずに総合商社と組んだ会社や、外部資本に頼らず売上を伸ばす会社のように、注目の集め方そのものに各社の個性が出ています。

13社のうち多くが、IPを作るのではなく広げる・掛け合わせる戦略を選んでいます。Web3×IP、2.5次元×IP、VTuber×グローバル展開、生成AI×キャラクターと、既存のエンタメ資産をどう再設計するかという発想が共通して見えてきます。

ロールアップM&Aで規模を広げる会社が複数いることも、業界の構造変化を映していて興味深いです。

Gaudiy

Gaudiy ロゴ

Gaudiyは、Web3技術を使ってIPホルダーとファンをつなぐコミュニティ基盤のGaudiy Fanlinkを運営するスタートアップです。2025年5月にソニーグループとバンダイナムコエンターテインメントから合計100億円の戦略的投資を受領しており、累計調達額は100億円を超えています。

競合関係にあるソニーとバンナムが同時に出資している企業は、国内でほとんどありません。両社が同じプラットフォームに賭けているのは、Gaudiyをエンタメ業界のインフラとして認めているからだと思います。

Gaudiy Fanlinkは、NFTチケットの販売、オンラインライブ中のサイン入りNFT配布、ファン貢献度に応じたインセンティブ還元などを提供するプラットフォームです。導入実績はTOKYO IDOL FESTIVAL(ソニー・ミュージックと共同)、集英社の約束のネバーランドコミュニティ、サンリオなど複数のIPホルダーに及びます。

同年4月には、月間約1,800万人・世界200か国以上のアニメファンが利用するMyAnimeListを完全取得しました。グローバルなアニメファンのデータと国内IPホルダーのコンテンツを組み合わせることで、IP流通インフラとしての可能性が広がります。

ウタイテ

ウタイテ ロゴ

2.5次元IPの企画・開発・運営を手がけるウタイテが、5月にシリーズBで77億円を調達しました。累計調達額は126億円に達しており、出資者にはテンセント、日本政策投資銀行(DBJ)、セガサミーHD、TBSホールディングスが名を連ねています。

設立2.5年でテンセントがリードする出資を引き出した事実が、この会社の注目度を物語っています。テンセントは中国最大のゲーム・エンタメ企業で、調達後の用途として中国・韓国でのグッズ販売を含む海外事業の拡大を明言しました。

展開するオリジナルIPの一つがきみとぴあ!で、2024年7月デビューの5人組歌い手アイドルグループです。

すぱどり(SUPER STARDREAMER)はデビューから2日でYouTube再生10万回を突破した6人組ユニットで、東京ドーム公演を目標に掲げています。

ぴあ総研の調査によると、2.5次元ミュージカルの市場規模は同年に約330億円(前年比17%増)に達しました。日本2.5次元ミュージカル協会の集計でも、年間動員数は315万人と過去最高を更新しました。ウタイテの手がける歌い手×リアル活動というジャンルは、その流れの中にあります。

既存IPのライセンスを使わずオリジナルIPから始めている点が、権利面での差別化です。グローバル展開の際に権利関係の障壁が生じにくく、テンセントが投資を決めた背景の一つにもなっていると思います。

Brave group

Brave group ロゴ

VTuberプロダクションのぶいすぽっ!を擁するBrave groupは、累計約62億円を調達しています。三井不動産やテレビ朝日ホールディングスといった大手企業が出資しており、エンタメ企業にとどまらない資本構成です。

グループ内にはぶいすぽっ!以外にも、バーチャル音楽レーベルのRIOT MUSIC、渋谷ハル・まふまふ・そらるが関わるNeo-Porte、仮想アーティストユニットHIMEHINAを運営するStudio LaRaなどが名を連ねています。3D映像・メタバース開発のD1-Lab、企業向けDXを手がけるGeek Hiveも傘下にあり、エンタメからテクノロジーまで横断するグループ構成です。

M&AはVTuber事業だけにとどまりません。英語圏VTuberグループのidolを米国で傘下に収め、韓国最大のVTuber事務所StelLiveも統合しています。現在は日本のほか、米国・韓国・タイ・中国にグループ会社を構えており、日本のVTuber企業のなかでも海外展開が進んでいます。

ホロライブ・にじさんじという二強が固まった市場で、M&Aによって第3勢力のポジションを築いているのは、日本のエンタメ企業としては異例の戦略です。

THINKR

THINKR ロゴ

KAMITSUBAKI STUDIOを運営するTHINKRが、2024年7月にシリーズAで約50億円を調達しました。同時にエイベックスグループの子会社から完全独立しており、独立後もアーティスト領域ではエイベックスとの業務提携を継続しています。

KAMITSUBAKI STUDIOには、花譜(YouTubeチャンネル登録者数約106万人)を中心に、ヰ世界情緒・理芽・春猿火・幸祜の5名によるユニットV.W.Pが名を連ねます。バーチャルシンガーとして国内でも上位の規模感です。

リアルライブの実績も着実に積み上がってきました。同年1月に国立代々木競技場第一体育館で2日間・計約3万人を動員し、同年11月は幕張メッセイベントホール、翌年11月には東京ドームシティホールでの開催が予定されています。

出資者にはゲーム特化グローバルVCのMakers Fund、Cygames Capital、KDDI Open Innovation Fundに加えて阪急阪神ホールディングスが名を連ねています。阪急阪神HDとはすでに体験型エンタメ領域での業務提携を進めており、オリジナルショートアニメのHELLO OSAKAやバーチャル謎解きなどの協業実績があります。

バーチャルIPをリアルな会場・体験と結びつける方向性は、VTuber文化の次の形を探る上でひとつの答えになりうると思います。独立後にどのようなIP展開を進めるか、今後の動きが注目されます。

AnotherBall

AnotherBall ロゴ

AnotherBallは、アニメやVTuberといった日本の文化資産をテクノロジーでグローバルに広げようとするスタートアップです。シンガポールに本社を置き、2023年11月のシードラウンドで19億円を調達しました。エンジェルラウンドと合わせた累計調達額は約22億円に達しました。

出資者にはANRI、Hashed、グロービス・キャピタル・パートナーズなどが名を連ね、Crunchyrollの共同創業者も支援に回っています。CEOはママリをKDDIへ、VTuber事業のPRISM PROJECTをソニーへと売却してきた連続起業家です。エンタメとテクノロジーの両方で事業の出口を作ってきた経歴が、投資家が早い段階から賭ける理由の一つになっていると思います。

主力プロダクトのAvvyは、スマートフォンだけで1分ほどでVTuberになれるアプリです。2025年4月に体験版を公開すると、広告を打たないまま10日間で20万ダウンロードを突破しました。

さらにグループには映像・ゲーム制作のスタジオメイフラワーが加わり、翌月にはRobloxで『The Inn』を公開しました。VTuberになるためのツールと、その配信者が立つコンテンツの両方を、一社で育てる構えです。

Brave groupがM&Aで既存のVTuber事業を束ねて規模を広げるのに対し、AnotherBallはアプリでVTuber人口そのものを増やそうとしています。プラットフォームとIPを同時に立ち上げる発想に、この会社らしい独自性があると思います。

KOWRO

KOWRO ロゴ

KOWROは、生成AIを使ってエンタメ関連のサービスを複数同時に立ち上げるスタートアップです。2026年4月の設立から間もない同年6月に、DMM.comから単独で30億円を調達しました。設立初年度でこの規模の調達は、エンタメ領域でも異例の大きさです。

中核に置くのは、AIキャラクターとチャットできる事業と、AI翻訳で日本のエンタメコンテンツを海外へ届ける輸出事業の2つです。さらにAIアイドル、AI占いといった新規事業も同時に立ち上げる計画です。

注目したいのは、AIを制作の効率化ツールとしてではなく、日本のエンタメの可能性を広げるインフラとして位置づけている点です。1つのプロダクトに絞らず複数事業を並走させる構えは、生成AIがエンタメのどの場面に効くのかをまだ誰も見極めきれていない、今の段階ならではの賭け方だと思います。

DMMが単独で30億円を入れた事実は、この多面展開の可能性に大きく賭けたということです。どの事業が伸びるかはこれからですが、AI×エンタメの新規事業をまとめて試せる立ち位置は、他社にない強みです。

Meltly

Meltly ロゴ

Meltlyは、AIキャラクター作成アプリ「Days AI」を運営するスタートアップです。Days AIは、テキストや好みのテーマを入力すると、自分だけのオリジナルキャラクター(うちの子)のイラストをAIが生成し、設定した性格でチャットもできます。累計ダウンロードは60万を超え、ユーザーが生成するイラストは月に1,800万枚にのぼります。

開発元のMeltlyは東京大学の学生・院生を中心に2022年に生まれた会社で、アニメイラストに特化して学習させた独自の画像生成AI「Days AI V3」を自前で持っています。市販のモデルをそのまま使うのではなく、サブカルチャーの絵柄に最適化した点が技術的な独自性です。

特徴的なのは、海外の投資家の動きです。日本経済新聞は、直近の秋に米国のベンチャーキャピタルがMeltlyへ約70億円規模の出資を提示したと報じています。日本の「推し」や「うちの子」を愛でる独自の文化に、海外マネーが価値を見出している構図です。

累計の調達額は約7億円とまだ大きくはありませんが、アニメ・キャラクター文化を土台にしたAIプロダクトが海外から評価され始めている事例として、追いかける価値があると思います。

Creator’s X

Creator's X ロゴ

2024年2月に設立されたCreator’s Xは、AIとロールアップM&Aを組み合わせてアニメ制作会社を再編しようとしているスタートアップです。翌年11月に19億円(シリーズA)を調達しており、グローバル・ブレインがリードし、博報堂DYベンチャーズ、みずほ・三菱UFJ銀行が参加する構成です。

アニメ関連スタートアップの多くがコンテンツの企画・配信に集中するなかで、Creator’s Xは制作現場のインフラ側に切り込んでいます。長く続く人手不足と低賃金という構造問題を、テクノロジーと資本の両面から解こうとしています。

自社開発の背景特化AIのHAIKEI Xは同年12月にベータ版をリリースしました。プロンプト不要で直感的に操作できる設計で、各クリエイターの過去作品を学習させたパーソナライズ機能も開発中です。

制作グループは現在3スタジオ体制。K&Kデザイン(アニメ制作・AI実装)、スタジオSAIGA(背景美術・3DCG背景)、BENTEN Film(旧ガイナ、ピアノの森・ババンババンバンバンパイア制作)の3社です。

創業者がU-NEXT Holdings出身という経歴も、戦略の背景を物語ります。コンテンツの流通側にいた人間が制作インフラ側に入ってきた事実から、産業構造の変革を見越した投資家が揃っているのも頷けます。

ソラジマ

ソラジマ ロゴ

ソラジマは、オリジナルのWebtoon(縦読みマンガ)を制作するスタジオです。自社のマンガメディア「cosmic」で作品を配信し、すでに世界10ヶ国で30本のオリジナル作品を連載しています。2023年3月にはシリーズBで約10億円を調達しました。

出資者にはZ Venture Capital(リード)に加え、KDDI Open Innovation Fund、DBJキャピタル、電通ベンチャーズ、博報堂DYベンチャーズなどが並びます。通信・金融・広告と業種をまたいだ顔ぶれは、Webtoonを一過性の流行ではなく次のIPの入口として見ていることをうかがわせます。

ソラジマが面白いのは、原作IPを自前で生み出している点です。社員35名に対してクリエイターは約400名にのぼり、制作体制そのものが多くの作品を同時に生む前提で組まれています。

韓国発の縦読みマンガが先行する市場で、日本の制作スタジオがオリジナル作品を多言語で同時に展開しています。マンガ原作を実写やアニメへ広げていく流れを考えると、その源流になるIPを量産できる会社の価値は、今後さらに高まると思います。

Anique

Anique ロゴ

Aniqueは、アニメ・マンガ・ゲームのIPの価値を、グッズや体験で引き上げるスタートアップです。2026年2月にシリーズBのファーストクローズで約13億円を調達しました。引受先はグローバル・ブレインが運営する複数のファンドと、丸井グループです。

事業はデジタルとリアルの両方にまたがります。VR空間を使った展示「Anique Museum」では、2024年の「serial experiments lain」展に累計6.5万人以上が来場しました。原宿と博多には体験型カフェ「洒落CAFE」を構え、グッズの企画・販売やポップアップイベントも手がけています。

すでにある人気IPを、新しく作り直すのではなく、ファンが触れて楽しめる場へと広げていく立ち位置です。丸井グループという商業施設の運営者が出資に加わっているのも、リアルな場での体験づくりを見据えてのことだと思います。

同年には台湾子会社を設立し、韓国・中国・北米へも展開を広げました。短中期では10ヶ国への拡大を計画しており、日本のIP体験を海外へ持ち出す動きが本格化しています。

GENDA

GENDA ロゴ

今回リストに挙げた他の12社はすべて未上場ですが、GENDAだけは特別枠として選びました。東証グロース上場済みの企業ですが、2025年単年で18件のM&Aを実行し国内上場企業中1位、上場を資金調達の手段として使い続けているからです。

グループはエンタメ関連の多業態を傘下に束ねる構成です。GiGO(ゲームセンター・アミューズメント)、カラオケBanBan、フォトスタジオのスタジオキャラット(全国108店舗)、映画配給のギャガ、映画情報サイトの映画.com、外貨両替のSMART EXCHANGEなどが傘下にあります。

国内外合わせて約1,100店舗を運営しており、同年4月には北米最大級のゲームセンター運営会社Player One Amusement Groupを約255億円で買収しました。展開国は日本・米国・英国・カナダ・中国・台湾など11カ国に広がっています。

際立つのは、SEGAが手放したGiGO(旧セガ直営のゲーセン)を買収して黒字化した実績です。日本のM&Aでは武田薬品によるシャイアー買収のような大手同士の大型案件が注目されますが、スタートアップが大手から事業を引き受けて再建するケースはほとんどありません。

GiGOの買収はその意味で異例で、大手が手放した事業を後発の企業が収益化してみせた事例です。衰退とラベルを貼られた業界に飛び込んで立て直すモデルが成立するということを、GENDAは証明しつつあります。

アイザック

アイザック ロゴ

アイザックは、ここまでの会社とは資金の集め方が正反対のスタートアップです。外部から出資を受けず、100%自己資本での経営を続けたまま、売上高は55億円に達しています。正社員93名に業務委託を加えると300名規模で、2030年末には営業利益100億円を目標に掲げています。

エンタメに直結するのが、3月に分社化したAimyです。Aimyは、自分好みのAIキャラクターを作って会話できるスマートフォンアプリ「Aimy」を運営しており、ユーザー数は1月時点で10万人を突破しました。年内には100万ユーザーまで伸ばす計画です。

グループにはほかに、アート業界にテクノロジーを持ち込むArtX、人間関係づくりを掲げるリンクなどがあります。一つの事業に賭けるのではなく、複数の会社を育てながら自己資本で回す構えです。

VCマネーで一気にアクセルを踏む他社が多いなかで、外部資本に頼らずエンタメAIを伸ばすアイザックは異色の存在です。調達額では測れないタイプの注目株として、その独立独歩のモデルがどこまで通用するかを見ていきたいと思います。

TITAN Intelligence

TITAN Intelligence ロゴ

TITAN Intelligenceは、動画コンテンツを多言語に吹き替えるAI「mimidub」を開発するスタートアップです。話者の声質や呼吸、感情の起伏まで再現したまま別の言語へ変換できるため、日本語の作品をそのままの声色で海外へ届けられます。

この会社が異彩を放つのは、その速さです。設立は2025年2月で、それからわずか8ヶ月後の同年10月には、伊藤忠商事およびCTC(伊藤忠テクノソリューションズ)と覚書を結びました。日本のコンテンツIPの多国展開を、両社の営業網に乗せて支援する内容です。同年12月には、翻訳制作のこんにちハローとも手を組みました。

ここまで挙げてきた会社の多くが大型の資金調達で注目を集めているのに対し、TITAN Intelligenceは創業直後に総合商社が事業で組んだという信用で存在感を示しています。お金が先か、提携が先かという違いはあれ、大手が本気で動いたという点は共通しています。

エンタメのIPそのものを作る会社ではありませんが、日本の作品が言葉の壁を越えて海外に出ていくとき、その通り道を支えるインフラになりえる存在です。設立まもない会社がどこまで伸びるか、注目しています。

まとめ

13社に共通しているのは、既存のエンタメ資産や産業構造をどう再設計するかという発想です。まず、キャラクターやIPを「広げる」会社が目立ちます。

Web3でIPインフラを作るGaudiy、歌い手IPを世界へ広げるウタイテ、VTuberをM&Aで多国展開するBrave groupがその代表です。アプリでVTuber人口を増やすAnotherBall、バーチャルとリアルを結ぶTHINKRも同じ系統に入ります。

生成AIを使う会社も増えてきました。エンタメ事業をまとめて立ち上げるKOWRO、Days AIでAIキャラ作成を広げるMeltly、制作現場にAIを入れるCreator’s Xがそれにあたります。

残る会社は、注目の入口がそれぞれ違います。Webtoon原作を世界へ送り出すソラジマ、既存IPを体験へ広げるAnique、衰退業界を買収して立て直すGENDA、自己資本で伸びるアイザック、創業すぐに伊藤忠と組んだTITAN Intelligenceです。

それぞれに、今の時代との合い方があります。

この先どこが頭一つ抜けるかは、IPの権利構造やグローバル展開のスピード、AIコストの変化といった外部要因にも左右されます。引き続き注目です。

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